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あのあと、彼らはさんざんセンラを茶化したあと、夕方頃に帰っていった。
空はすっかり暗くなっていて、久しぶりに雨が降ってきたようだった。
「…あ。雨」
風呂からあがった名前が窓の外を見て、嫌そうに顔をゆがめた。
「雨、嫌いなん？」
「雨の日は、嫌な夢を見るんです」
だから寝覚めも悪くて。と彼女はうなずいた。
「センラと一緒なら、大丈夫なんとちゃう？」
「なんですか、その理論」
思わずAが吹き出すと、でも案外そうかもしれませんね、と笑った。
2人は黒いソファに腰掛けて、今度リバイバル版が上映されるという映画を見ていた。
サーファーの女の子が世界大会を目指すヒューマンドラマ系の話だった。
Aは疲れたのか、時折うつらうつらと船をこいでいる。
「寝よか？」
「もうちょっと…」
と言いながらも、半分寝かけていて、目は閉じられたままだ。
「ベットいくで」
と声をかけてテレビを消す。
彼女を横抱きにすると、いやいやと首を降った。
「夢見るから、やだ」
「センラと一緒だから、大丈夫。今日は怖い夢も見いひんよ」
「ほんとに？」
やはり眠たいからか、彼女はちょっとだけ舌足らずにいう。
「ほんまに」
自室の扉を足で開けて、彼女をベットに下ろす。
すかさず横に滑り込んで、2人で布団を被った。
「せんらさん、ぎゅってして」
子供みたいに手を伸ばしてきて、それに応えるようにセンラは自分より一回り小さいAを包み込んだ。
ベットが軋んで、音を立てる。
彼女は産まれたばかりの子犬が母犬に甘えるように擦り寄ると、うふふ、と満足そうにした。
「ほら、怖くないやろ？」
「ん…」
「大丈夫。傍におるから。おやすみ」
「おや…み、なさ…」
彼女はあっという間に夢の世界に旅立ってしまった。
安心した様子で、すうすうと寝息を立ている。
「…おやすみ、A」
センラは静かに彼女の頭にくちびるを寄せた。
Aはいつも通りの時間に目が覚めた。
外では、昨日から降り出した雨がまだ続いていた。
「ゆめ、みてない」
まだぼんやりとした思考の中で真っ先に思ったのはそれだった。
目と鼻の先には、センラの端正な顔が眠っている。
昨日彼が言っていたことは本当だったのかもしれないと思いながら、彼の頭で跳ねている寝癖を撫でた。
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まつり(プロフ) - なるほど！！！続編も短編も両方楽しめるということですね！読者的にはすごい得した気分です！掛け持ちになると思うので自分のペースでお身体壊さないようにしてください…！更新、楽しみにしてます！ (2020年4月11日 19時) (
レス) id: dc65f13ca7 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - まつりさん» ありがとうございます。続編に入る前に、短編を書いて思い出しながらやっていこうと思っています。今後とも応援のほどよろしくお願いいたします。 (2020年4月11日 19時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - いきなり更新されて驚きました！大好きな挨拶シリーズの新しいお話が読めてとっても幸せです！！！ありがとうございます！ (2020年4月10日 0時) (レス) id: dc65f13ca7 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - 。。。さん» ありがとうございます。解除いたしました。ご迷惑おかけし申し訳ございません (2019年11月12日 17時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
。。。 - オリジナルフラグはちゃんと外して下さいね。。。 (2019年11月12日 17時) (レス) id: 0cc258f9a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りひと
| 作成日時：2019年11月12日 16時
