グットモーニング・トウキョウ【センラ】 (ページ6)

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「俺も彼女おらんもーん」

「そうですか。それはよかったです」

は、待て待て待て？

よかったです？どういうことやねん。

突然のことに、センラは思わず頭を抱えたくなった。

え、と思わず驚いた声を出したが、彼女は訳が分からないとでも言うように首を傾げている。

無意識なのか、はたまた計算なのか。
それはそれを、意識しての言葉なのだろうか。

一気に色んな考えが頭を巡るがどれが正解なのか全く検討もつかない。

そうこうしているうちに、あっという間に彼女の家の前。
彼女はいつもと同じように、ぺこりと頭を下げてアパートに入っていった。

俺も同じように2軒先の自宅へと帰る。

買ってきたビールを手早く冷蔵庫に入れると、雨で冷えきった体を温めるためにシャワーを浴びた。
今日はいつもより熱めのシャワーを頭から浴びると、徐々に仕事モードからプライベートモードへと切り替わる。

体を洗い終わった後も、5分くらい、ただ熱いお湯を身体中に浴びていた。

額が熱くなり、徐々にのぼせてきた感覚を覚えたので、湯をとめた。
バスルームは湯気で真っ白になっている。

浴室からあがり、身体中の水気を拭き取ると下着と寝巻きにしているスウェットを身につけ、冷蔵庫を開ける。

目当てのビールはキンキンに冷えており、それを1本取りだして、窓際のソファーに腰掛ける。
缶は、プシュ小気味いい音を立てて開いた。

ぐい、と煽るように飲むと、冷たいのど越しが、胃まで流れ込んでくるのがわかる。

黄金色の液体がガツンと喉を通り、腹を満たしていく感覚が、彼はどうしようもなく好きだった。

ハイボールも好きだが、ビールにはビールだけの魅力があるのだ。

つけたテレビをぼんやりと見ながら、センラは彼女ー佐藤Aのことを考えた。

佐藤A

1月22日生まれの水瓶座
B型

出身地不明
家族構成不明

恋人はいないらしい

趣味はゲームとコンビニの新商品を食べること

甘いものに目がないくせに、牛丼には七味をこれでもかというほどかけて食べる

性格…

性格は、不明。

鉄仮面で何を考えているのか分からないと思えば、庶民派で新しい物好きで。

最初は上司として、仕事のつもりで彼女を見ていた。

でも今は、俺個人として、このめちゃくちゃな彼女に興味を抱いているのは確かだった。