グットモーニング・トウキョウ【センラ】 (ページ43)

今日:2 hit、昨日:8 hit、合計:223,442 hit

. ページ43

志麻と共に、最寄り駅に降り立つと三連休初日、土曜の夜ということもあり、人がごった返していた。

ほとんどは酔っ払いか大学生で、週末の余暇を楽しんでいたことが伺える。

まだ桜が咲くには早い時期だ。夜はまだ随分と冷える。

そう思ってポケットに手を突っ込むと、センラのスマホが震え出した。

着信の相手はAだった。
彼女から電話が来ることはほとんどない事だったので、センラはあわてて通話ボタンを押した。

「センラさん!!よかった、いま、どこ！？」

電話の相手は走っているのか、息も絶え絶えだ。

彼女は外に出ているのか、向こう側からは雑踏が聞こえる。

「いま、志麻くんと駅ついたとこやで。改札出たとこ。それよりも、なんで1人で外にいるん？」

隣の志麻がぴくりと反応した。

ミカミに遭遇しないよう、1人では外出しないように約束していた彼女が、外にいることにセンラは驚いた。

「詳しいことは、あとで、…あ」

「A？」

彼女の声が途絶えて焦ったとき、背中に衝撃が走った。

うおっ、とセンラというと、隣の志麻くんが「A!？」と驚きの声をあげた。

どうやら衝撃の正体はAだったらしい。

体を反転させて、彼女の肩に手を伸ばすと、Aは彼女は安心したような、でもどこか焦っているような表情でセンラを見た。

「センラさ、よかった…!!」

泣きそうな顔をしている。
寒い中走ってきたからか、鼻は真っ赤だ。
部屋着のまま飛び出してきたであろう彼女に、センラは慌てて自分の来ていたコートを着せてやる。

「Aちゃん、なにがあったん？」

よかった、よかった、とセンラが無事であることにそういうAに、志麻くんが問う。

「さっき、あいつから、電話が来て。……センラさんを、殺すからって」

ぞくりと、センラは背中に寒気がした。

だから、どうにかしなきゃと思った時には外に駆け出していたのだと、彼女は言った。

「とりあえず、いったん帰るで。3人おるし、大丈夫やろ」

志麻くんが場をおさめて、3人の足がセンラのマンションへと向けられる。

3人の足音はいつもより不安に駆られ、自然と早足になる。

いつものコンビニを、3人は終始無言で通り過ぎて、街灯がひとつしかない公園に差しかかる。

刺すような視線に気づいて、Aは立ち止まった。

急に立ち止まった彼女に驚いて、志麻とセンラも彼女の視線を追った。