ぼくらの夏 ページ1
「悩んでたのは、坂田のこと？」
リビングに戻ってきた私に、うらたさんはそういった。
「……はい」
「だから、俺に言いにくかったんだな」
確信めいた言い方だった。
「……すみません」
「俺も、悪かった。言いにくいこと、聞いた」
「いえ……でも、私、うらたさんに「頼っていい」って言ってもらえて、嬉しかったですよ」
「………そ」
うらたさんはそっぽを向いた。
これは不機嫌になったのではなく、ただ単に照れているだけなのだと、最近は分かるようになってきた。
「でも、俺、なんとなく気づいてた」
視線はテレビ画面に向けたまま、うらたさんはそう言った。
「なにを？」
「お前と坂田が、ただの高校のときの同級生じゃないってこと」
私はその言葉にびっくりして目を見開いた。
「どうして……」
「キーホルダー」
「え？」
「A、スマホにキーホルダーついてるじゃん。イルカのやつ」
「はい」
「あれさ、同じやつ坂田がカバンにつけてるの、見たことあってさ。お前らが知り合いってわかった時、なんか納得したんだよね」
「そう、だったんですか」
坂田くんも、つけてたんだ。
唯一と言っていい、私たちが付き合っていた証。
前に水族館にいったときにお揃いで買ったものだった。
「でもさ、坂田のこと悩んでるってことは、他に好きなやつがいるとか？」
「そういう訳じゃ、ないんですけど」
自分でも分からない。
どうして、坂田くんに応えられないのか。
坂田くんのことは……きっと、好きだ。
どこに迷う要素があるのだろう。
他の誰かが好きだと自覚している訳では無い。
もしかしたら、無意識のうちに、誰かのことが引っかかっていて、それで応えられないのだろうか。
じゃあ、その誰かって誰なんだろう。
「なあ、」
うらたさんの言葉に呼び戻され、私はハッとして彼を見た。
彼はぐい、とこちらに近寄ると、あっという間に目の前に来た。
彼は少し苦しそうな、切ない表情をしていた。
どうして、そんな顔をしているんですか。
うらたさんのこんな顔を見るのは初めてで、戸惑いを覚える。
彼らしくない、とすら思う。
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りひと(プロフ) - みかんさん» みかん様/ コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです♪今後ともよろしくお願いいたします！ (2020年1月1日 10時) (
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みかん - 完結おめでとうございます！りひとさんの作品大好きです。これからも応援しています、頑張ってください！ (2020年1月1日 9時) (レス) id: 6edfb9ce46 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - しぃさん» しぃ様/コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです！今後とも応援のほどよろしくお願いいたします！またコメントお待ちしておりますね♪ (2019年12月31日 20時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
りひと(プロフ) - まつりさん» まつり様/ありがとうございます！新年には新しい作品も投稿してまいりますので、今後ともよろしくお願いします♪またコメントお待ちしておりますね！ (2019年12月31日 20時) (レス) id: d056bbadb9 (このIDを非表示/違反報告)
しぃ(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても好きな作品なので2人分のルートを作ってくださり、とても嬉しかったです！他の作品の更新も楽しみにしています (2019年12月31日 19時) (レス) id: 42c92e6201 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りひと
| 作成日時：2019年12月24日 11時
