【ハイキュー】ど う し て こ う な っ た 。【白鳥沢】

可笑しい ページ3

Aside


「A先輩！おはようございます！！」


...ああ、今日も早いね。


「うん。おはよう工」

「はい！！おはようございます！」


彼は次期エース、五色工。若利に張り合うという何とも無謀なことを一年にしてやってのける、期待の新人だ。


ネットの準備やらボールの準備やらで大変な朝練前。こんなに早く来るのは、私とバレー部のスタメンだけだ。

特に工は早い。私よりも前に来ることもある。偉いね本当。



....ただ、最近後輩の様子が可笑しい。


「A先輩！！こっちのネット、貼り終わりました！」

「.....ありがとう工。おかげさまで早く終われた。じゃあ後は皆が来るのを待つだけか」


その瞬間、ピクッと工の顔が険しくなった。

.....？私、何か変なこと言ったかな。


「A先輩が、俺以外の人見てると思うと、ちょっと気に食わないです...」


そう言ってシュン...となる工を見て、母性心が疼く。........というワケではない。

何故なら、彼はこうなった後、笑顔で物凄いことを口走るから。


「....あ！！気に食わないんだったら、A先輩に映る害虫をやっつけちゃえばいいのか...！！」


思考回路どうなってんの。害虫ってなんだよ害虫って。笑顔でそんなこと言うんじゃない。

獅音早く来てくれ今すぐに。隼人か若利でも可。


工は「ね！！A先輩もそう思いますよね！」とこちらに話を振ってきた。



やめろそんな純粋な笑顔を私に向けるな。いや、言ってることはまっっったく純粋じゃない、てか不純だらけだけどね。

表情筋あるの？とよく言われる私だが、この時ばかりはそれが崩れそうだ。


「....」

「...？A先輩....？わっ、」


私は腕を伸ばして、工の頭をくしゃくしゃっと撫でた。工のサラサラの髪が少しずつボサボサになっていく。


「え！？いいいいいきなりどど、どどどどどどうしたんですかあ！？」

「どもりすぎ。....そんなこと言わなくても大丈夫だよ。私は、工のこと毎日見てるから」


「工は心配性だね」と自然体で言えたはず。
内心怖い。でも、少しでも怖がったり、怯えたりしたら相手の思うツボだ。だから私は、敢えて工の愛に”気づかない”フリをする。


それが、一番の平和的な方法。....だと思いたい。

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