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余韻に浸って、人形に囲まれたベットに沈むように寝転び、スマホを弄っていた。スマホを弄っていると言っても、考えることが多すぎて、ホーム画面を行き来するだけなのだが。
「…楽しかったみたいだね」
僕の声が聞こえて僕はスマホから手を離して、上半身を起こした。するとベットの端に腰掛けている僕の姿が見えた。横顔しか見えなかったのに、僕が起き上がった音で、彼はふと僕を見た。
「…こりゃどうも」
「にしても君、めちゃくちゃ人気者だね〜、僕が女の子に笑いかけたらキャーって」
「ちょ、そういうの僕しないから…!」
「あはは、1回しかやってないから」
彼は笑って、すぐに元々のニヤけるような笑みに戻る。そして二本の指を僕に差し出す。何か分からなくて、眉をひそめていると、彼は話し出した。
「ルールを決めよう」
「は、ルール…?」
「僕らドッペルゲンガーにはルールが2つある。だけど君だけルールに縛られちゃダメだから、僕にも2つのルールを決めていいんだ」
理解が出来なくて、僕はじっと彼を見つめていると彼は僕のベットに上がってきて、正座を崩した僕の真正面で彼も正座を崩して座った。僕の顔が相当怖かったのか、『最初より僕の事キツく見るようになったよね〜』だなんて言って、本題に戻る。
「僕からは、ドッペルゲンガーが…まぁ、『僕が存在していることを他人にばらしてはならない』…あと、一番大事、『突然現れた事実を暴れずに受け止め、使命を来なすこと』」
「…」
「この2つ」
最後の言葉が気になって、僕は彼に聞いた。
「突然現れた事実って?」
「そりゃあ…突然だから、分かんないや」
そう言って彼はヘラっと笑う。僕はそれ以上問うのをやめ、僕も2つの約束を提示した。
「…えと、じゃあ僕からは、さっきみたいな『僕が普段しないことはやらないこと』『僕がAさんに告白出来たら、用はないから消えること』」
「……俺の事、雑用としてしか見てないねぇ」
「見てないよ、こんな役に立つ『僕』が居るなんてさ、もっと早く来てくれたらよかったのに」
しばらく僕を楽しそうに見つめてから、一息置いてさっきの僕の約束の答え、『分かった』と答えた。そう言った笑みは、本当に明るい笑みで、僕は疑うということが完全に頭から抜けているのだった。
「今日は一緒に寝ようよ〜」
「う、狭いからやめて…」
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作者名:しょうゆのすけ | 作成日時:2019年2月26日 15時