男子校だなんて聞いてない【歌い手】

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「…屋上やん。」



階段を上るとどんどん声が大きくなってくる。

誰かが歌ってる。




昔壊されたであろう扉の穴から顔をのぞかせる。


この透き通る声、Aだったのか。


もっとよく見ようと、身を穴から乗りだしたら頭に激痛が。




「いたっ！」

「ｯ？！」



目をまん丸にして驚く彼女。そしてそのまま土下座したのだ。

俺は痛む頭をさすりながら屋上にでる。



「朝礼さぼってすいませんでした校長先生！！！！」

「俺校長ちゃうで。るすやけど。」

「驚かせんなよ」




なーんだ、なんていいながら土下座をやめるA

三ヶ月もたてば、ショートカットだった髪も、肩につくぐらいまで伸びていた。


土下座のせいで乱れた髪を整えて、ピン留めで髪を留める。


その姿が愛おしいほど好きで、俺はその姿を目に焼き付ける。




「何でそんなにじろじろみてんの。……もしかして、さっきの歌聞いちゃった？」

「んあ、聞いたよ。めっちゃかわいい声してるやん。いつもその声でしゃべったらええのに」

「ぶっ〇すぞ」

「怖すぎ」




そんな怖いこと言ってるくせにぷいっと俺から目を離して耳まで真っ赤になって。


「今日テストあるからみんな聞くよ？」

「…この声では歌わない」

「えー？！じゃあ俺その特別な歌声聞けたんだーラッキー」



そう言った直後に腹に蹴りが入った。

A、武道かなんかやってるやろ……。

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