魚を捕まえないといけない部屋 ページ4
そしてとなりには2つの青色のプラスチック製の大きな箱があった。金魚すくいなどで1度は見た事あると思う。
浦田なんかほってそろそろと中を覗いた。その瞬間ビクッと体が跳ね上がり、背筋が凍った。
「…さ、さかな」
「…ん"…んぅ」
「っ!?……びっくりした…」
浦田が起き上がった。それにでさえビックリしてしまう。
魚は美味しい。焼いても煮ても、生でも美味い。だが何故だか存在が苦手なのだ。その目、そのウロコ、ヌメヌメ、ツルツルした感触……。
「……なんで縛られてんの」
「じゃあ浦田はなんでこの部屋で寝てるの」
「…それは、知らん」
浦田は言葉を濁して私に近づきバケツの中を覗いた。小さく「ぅおっ」と声を漏らしたがじぃっと中を覗いていた。
「…なんか嫌な予感がする」
【鰻を捕まえないと出られない部屋】
「A、なんて書いてる?」
「……うなぎ」
「…大丈夫?顔色悪いけど」
「だ、大丈夫」
【20分以内に実行してください】
浦田は早速しゃがみ込み、腕をまくった。大きなバケツの隣にはアルミ製の大きめのボウルがある。ここに入れろということか。
「浦田が、全部やって…」
「は?なんで」
「手、縛られてるし」
「…ん、取ってやるから来い」
駄目だ、逃げると私のプライドが傷付く。私は彼らに弱みを握られたことは無い。だからこそ浦田に背中を見せ、坂田に縛られた紐を解いてもらう事にした。
が、解く前に後ろから私の肩にあごを乗せてクスッと笑う。
「女の子が縛られるのって…ホントそそるよねェ」
「そんなの言ってる場合じゃないでしょ」
「女の子って言うかー…、俺はA限定だけど」
「早くして」
はいはい、なんて言って解いてくれる。その後すぐに彼はウナギとにらめっこを始める。
「オラァ………っよッ!!!」
浦田が両手で鰻を掴んだ。が、するりと抜けていき、彼は舌打ちを漏らす。そして彼は私に話しかける。
「ちょ、Aも手伝って」
「わ、分かった」
私は隣に座った。駄目だ、やっぱり苦手なものは苦手だ。腕まくりをして震える手を水に付けた。
「っだーーーーっ!逃げたっ!」
「ひっ」
「A!尻尾掴め!!!」
「……」
「ちょ、固まってるけど?!おーい!おーーーい!!!え、…意識飛んでない???」
浦田はぶっと笑ってから軽く私の肩をとんと叩いた。
「俺がやるから、下がってていいよ」
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しらす - は?猫耳さかたんとか天使かよ (2019年4月23日 13時) (レス) id: f34e486c2f (このIDを非表示/違反報告)
しょうゆのすけ(プロフ) - Blackgirlさん» コメントありがとうございます。続編もご期待に添えるよう頑張らせていただきます (2019年2月24日 15時) (レス) id: d6c32b13a2 (このIDを非表示/違反報告)
しょうゆのすけ(プロフ) - 歩さん» コメントありがとうございます。続編もよろしくお願いします…! (2019年2月24日 15時) (レス) id: d6c32b13a2 (このIDを非表示/違反報告)
Blackgirl(プロフ) - みんな一途で可愛い。続編期待してるで。 (2019年2月22日 23時) (レス) id: 61c7222caa (このIDを非表示/違反報告)
歩 - ついに続編ですか!!おめでとうございます!黒幕も出てきた(?)事だし、これからの展開が更に楽しみです!続編もふぁいとですっ! (2019年2月22日 20時) (レス) id: 13020661c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しょうゆのすけ | 作成日時:2019年1月21日 16時