拘束しないと出られない部屋 ページ3
｢坂田、…起きてよ｣
｢……んん｣
｢はーやーく｣
｢…ぅ、あでっ、いででっ！！｣
寝っ転がる坂田の頬を抓りあげると坂田は声を上げて頬を抑えて飛び起きた。
｢え、A？！｣
｢こっちのセリフなんだけど。｣
｢…可愛い顔してるなぁ｣
｢こっち見ないで｣
そのままするりと頬を撫でるものだから、その手を弾くように跳ね除けてやった。そのとき、さかたんの後ろからモニターが光を発した。
【どちらかが相手を拘束しないと出られない部屋】
【20分以内に実行してください】
｢……こうそ、く｣
はっと振り向くと白い机に縄が1本。ぞわっと身の毛がよだつのが分かった。
さかたんは『よっ！』と声をあげて思いっきり立ち上がる。そして私より先にその縄に手を伸ばした。そしてピッと縄を両手で引っ張ってにっと笑った。
｢はよ終わらせて、ここはよ出よ！｣
｢待って、私が坂田を縛る…｣
｢なんで？｣
｢嫌だからに決まってるでしょ｣
｢やーだ｣
坂田はニヤリと怪しく笑う。まぁまぁ、なんて私をあやして座らせた。手を後ろに回させて縄を通そうとする。
反抗せずに縛られるのも嫌だから隙を見せて逃げた。が、坂田もそれは承知の上だったのかもしれない。私を首根っこ捕まえて床に叩きつけた。
｢…い"ｯ……！｣
｢こらこらぁ、……逃げんなや｣
こらこら、まではいつもの調子なのに次の言葉はオオカミのような声だった。今からウサギをペロリと食べてしまいそうな、そんなオオカミの声。
｢はいはい、暴れんといて〜。あと10分しかないもーん｣
｢…暴れるも何も動けないんだけど｣
ギッと歯を食いしばってムスッとすると坂田はあやすように私の頭をワシワシと撫でてから両手首をぎゅっと縛った。
完全に縛り終わり、坂田はふぅと額の汗を拭くふりをした。そして私から退いた。後ろに手を縛られたまま起き上がった。座り込んだままドアを見ると扉が少し開いていた。
｢今やったらなんでもしたい放題やなぁ…｣
｢ちょっ、坂田っ、もう出るよ｣
｢警察と泥棒みたい〜！｣
｢私何も取ってないから｣
私を引っ張って立たせてくれてそのままドアを開けて私をトンと扉の中に放り込んだ。｢ちょ、｣と声を荒らげたが、坂田は扉を閉めながらこう言った。
｢＿＿＿Aは俺の心を盗ったもん｣
言葉の意味なんて無視し次のドアを拘束された手で押し開けた。もちろん外ではなく、同じ白い箱の空間に浦田が寝転がっていた。
魚を捕まえないといけない部屋→←愛を叫ばないと出られない部屋
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1056人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しらす - は？猫耳さかたんとか天使かよ (2019年4月23日 13時) (
レス) id: f34e486c2f (このIDを非表示/違反報告)
しょうゆのすけ(プロフ) - Blackgirlさん» コメントありがとうございます。続編もご期待に添えるよう頑張らせていただきます (2019年2月24日 15時) (レス) id: d6c32b13a2 (このIDを非表示/違反報告)
しょうゆのすけ(プロフ) - 歩さん» コメントありがとうございます。続編もよろしくお願いします…！ (2019年2月24日 15時) (レス) id: d6c32b13a2 (このIDを非表示/違反報告)
Blackgirl(プロフ) - みんな一途で可愛い。続編期待してるで。 (2019年2月22日 23時) (レス) id: 61c7222caa (このIDを非表示/違反報告)
歩 - ついに続編ですか！！おめでとうございます！黒幕も出てきた(？)事だし、これからの展開が更に楽しみです！続編もふぁいとですっ！ (2019年2月22日 20時) (レス) id: 13020661c3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しょうゆのすけ | 作成日時：2019年1月21日 16時
