朝食を食べ無いとと出れない部屋 ページ15
目が覚めた。
ぼやけた視界の中、昨日のことを思い返す。
あぁ、結局晩御飯におにぎりを注文してテレビの下にあった棚からおにぎりが出てきて食べたんだった。その後そらるさんと交代してお風呂に入って……。
目の前にはムクリと起き上がっているそらるさんが居た。そのまま一緒に寝ていたベットから降りようとしていた。だから、その白いTシャツの裾を弱々しく掴んだ。
｢…どこ行くんですか｣
｢…起きてたの？｣
｢…今起きました…｣
彼は一瞬驚いた顔をしたがその後嬉しそうにふにゃりと笑って『おはよう』と言った。監 禁されているのに、どうしてそんなに幸せそうに笑っていられるのだろうか。
｢…ぁ｣
【2日目、開始】
【朝食と出れない部屋】
【30分以内に実行してください】
小さい窓から光が差し込み、モニターが光った。ゆめじゃ、無かった。昨日見た同じ机の上にはちぎって食べるロールパンとオレンジジュース、ヨーグルトが置いてある。
昨日も思ったが、生活するのに支障は無い。寧ろご飯も選択できたり、お風呂も入浴剤の種類まで豊富で、まるでホテルに泊まっているみたいだった。
｢…美味そう｣
｢…そうですね｣
｢食べよ。ほら、座って｣
私はそらるさんと向かい合わせで座った。だけどお題が簡単すぎる。何かきっと仕掛けがあるに違いない、そう思った矢先。
【食べさせあってください】
｢…食べさせ合う？｣
私が画面を凝視しているとそらるさんに声をかけられた。振り向くととろんとした瞳でヨーグルトの乗ったスプーンを近づけていた。
｢A、…あーん｣
｢っ？！それの事ですか？！｣
｢そうでしょ。早く｣
いや、それは無理…。あさイチから無理…。だ、だけど…これしないとそらるさん朝ご飯食べられずに坂田みたいに眠ってしまうかもしれない。
私は目を瞑ってパクッとそらるさんのスプーンを口に含んだ。そのスプーンが口からスルッと抜け出し、そのままそらるさんはそのスプーンを咥えた。
｢何してんですか｣
｢間接キス｣
｢…私の番ですね。｣
そらるさんの話を無視してロールパンを1口にちぎった。そして、それをそらるさんに近付ける。
｢早く言ってよ｣
｢な、何を言えば…｣
｢あーん、って｣
｢馬鹿にしてます？｣
そらるさんはそう言って小さく笑う。私は仕方なく呟いた。
｢……あーん…｣
それをパクッと口に入れた。そらるさんが一瞬子供に見えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1056人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しらす - は？猫耳さかたんとか天使かよ (2019年4月23日 13時) (
レス) id: f34e486c2f (このIDを非表示/違反報告)
しょうゆのすけ(プロフ) - Blackgirlさん» コメントありがとうございます。続編もご期待に添えるよう頑張らせていただきます (2019年2月24日 15時) (レス) id: d6c32b13a2 (このIDを非表示/違反報告)
しょうゆのすけ(プロフ) - 歩さん» コメントありがとうございます。続編もよろしくお願いします…！ (2019年2月24日 15時) (レス) id: d6c32b13a2 (このIDを非表示/違反報告)
Blackgirl(プロフ) - みんな一途で可愛い。続編期待してるで。 (2019年2月22日 23時) (レス) id: 61c7222caa (このIDを非表示/違反報告)
歩 - ついに続編ですか！！おめでとうございます！黒幕も出てきた(？)事だし、これからの展開が更に楽しみです！続編もふぁいとですっ！ (2019年2月22日 20時) (レス) id: 13020661c3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しょうゆのすけ | 作成日時：2019年1月21日 16時
