いわもとくんのお気に入り【黄】 (ページ3)

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「えっどうしよう！？
すみません！タピオカかけちゃって、」

「ふは、全然いいっすよ。笑もう帰るだけなんで」

「でも、それブランド物のTシャツですよね！？
え、どうしよう！あ！クリーニング代出します！！」

「ほんとに大丈夫っすよ。笑」

．

タピオカほとんどなくなっちゃってるんで、
これで買ってください

黒マスクのガタイのいい男性は
小銭を私の手に持たせ、

俺のことは気にしないでくださいと言って
帰っていってしまった。

．

『ほーら言わんこっちゃない』

「うぅ、ごめん…」

『てかどうすんの？そのお金』

「……おかね？」

．

握っていた手を開くと
さっきの男性から渡された小銭が
チャリンと音を立てる。

ブランド物のTシャツにタピオカぶっかけて
クリーニング代も払わずに
なぜかタピオカ代をもらってしまった私。

詰んでる、詰んでるよこれ…

だって次にあの人に会えるなんてこと絶対ない。
可能性はほとんどゼロだ。

せっかくいただいたタピオカ代だけど
さすがに使うわけにはいかず、
次、もし会えた時のために一旦持ち帰ることにした。

．

それにしてもあの男性優しすぎやしないか？

なんて思いながら
残り少なくなったタピオカをチューチュー飲みながら
レイと話しながら歩いて帰った。

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