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その日の夜、しのぶ姉さんは犬や猫がダメなので
父さんが山へ犬を帰してしまった。
それを知った私は深夜、こっそりと家族の目を盗み家を抜け出す。そして山に入り、犬を探した。
『 わんちゃーん、どこにいるの 、 』
だが、辺りは真っ暗でとても一人で来るべき場所ではなかった。帰ろうにも道がわからず涙が込み上げてきた。その時、誰かが私に声をかけてくる。
「 どうしたの ?? おチビちゃん 」
『 お兄ちゃんだぁれ……?? 』
「 俺 ? んーそうだなぁ。教祖様 」
そう言った彼は童磨というらしい。
事情を説明すれば、「 なら俺の所へおいで 」と
そう言って私を抱き上げた 。
私は一刻も早くこの場から離れたいのもあり、
躊躇いなく、素直に頷いた。
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______ 童磨邸
『 わぁ… 大きい !! 広い !!! 』
童 「 今日から君はここに住むんだ。名前は ?? 」
『 胡蝶A !! 』
そうして、童磨との生活が始まった。
童磨は日頃、信者とかいう人の辛い話や悲しい話を聞き、その人たちの気持ちに寄り添ったりしている。
話し終えた信者はみんな、最初はこの世の終わりのような顔つきだが帰る頃には笑顔なのだ。
だから童磨のしている事が良い事なんだと思った。
『 ねえ童磨… 童磨のお仕事は良い事なんだよね 』
童 「 そうだよ ?? 愚かで気の毒な人間を救って幸せにしてやるのが俺の仕事 」
『 … じゃあなんで童磨は幸せそうじゃないの ?? 』
そう私が言えば、童磨の雰囲気が一瞬変わった。
いつも張りつけたように変わる表情ではなく、
背筋が凍るような、童磨自身を見た気がした。
童 「 …… 幸せさ。もし幸せじゃないとしても、
Aが傍で幸せにしてくれるだろ ?? 」
『 うん、ずっと傍にいるよ !! 』
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そんな約束をしてから2年という長い年月を
童磨と共に過ごした。
そして今日、用があると言って出かけて行った童磨が帰ってきた。いつも帰ってくる童磨は上機嫌なのだ。
『 童磨 !! おかえり〜 』
童 「 ただいま !! A聞いてくれ !!
今日猗窩座殿が 〜〜 」
童磨はいつも帰ってくると今日あったことを教えてくれる。初めて話してくれたのは妓夫太郎さんと堕姫さんのこと。その時に私が楽しそうなのを見てから、
童磨はこうしてたくさんの話を聞かせてくれる。
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天霧(プロフ) - とても面白いです。続きが気になります。更新頑張ってください。応援してます! (2021年9月27日 21時) (レス) @page23 id: 8490818b21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あさぎり。 | 作成日時:2020年5月17日 0時