26.自画自賛 ページ26
SIDE.JIN
「美人かどうかって、ある程度後ろ姿でわかると思うんですよ」
カメラに向かって言った俺の言葉から始まったこの企画。後ろ姿だけで美人かどうか判断した女の子を呼び止めて振り返らせるっていう少々荒いモノだけど、案外面白そうだから採用した。
人でごった返す竹下通りで数名の女の子に声を掛けたけど、ある程度人数をこなして来ると見慣れて来るのか後半はどれも同じに見えてくる。始めてからそろそろ時間も経ったし、雨も降り出してきた。
「あの子可愛いんじゃない」
トランジスタが指差した茶髪の女の子に目をやった。
「いや、あれは普通だと思う」
「今通り過ぎた三人組」
「無し」
「あそこにいる黒いヒールの子は?」
「ダメ。後ろ姿美人なだけ」
「……ねぇ、そういう企画でしょ」
さっきから幾度と無くトランジスタとこのやり取りを繰り返してる。中々進まない撮影に痺れを切らしたトランジスタが「もう今日は帰る?」と聞いてくるが、俺は明日に繰り越したくないと頭を横に振った。初めからそこまで乗り気で無かったへきほーは既に飽きたのか、それともサラサラ彼女以外の女になど興味は無いのか、彼女と電話して時間を潰してる。
次の日に持っていくとポテンシャルが下がるのが分かっているのだ。あと少し。もう少しだけで良い、ちょっとしたオチが欲しい。
ただひたすら、俺は行き交う女性を漠然と見送った。もはや顔とかどうでも良い、とにかくオチになるような何か。既に頭の中では編集の作業が行われている。目玉を左右に動かして後ろ姿を眺めていると、ふと目の前を通った女性に目がいった。美人かどうかはまぁいいとして、彼女の着ているあまり体型に合っていない大きめのアウターのデザインが凄く良い。
とにかく声をかけないと始まらないのは確かだ。一か八かセンスの良いあの子にしようと立ち上がった俺は、早歩きの背中に声を掛ける。
「ねぇ、おねーさん」
触れた指に振り返ったその顔は怪訝な表情。いや、それよりも。
「A!!」
大通りに響いた俺の声。大きく眉をひそめた彼女は俺が喋り出す前に走り出した。一瞬で遠くなる背中。
「ちょ、なになに、どうしたの」
「退け!」
尋ねてきたトランジスタを押しのけて、放り出した俺は彼女を追った。
(元ネタに使用した動画のタイトル)
第1回振り向きブスババ抜きゲーム!!!
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匿名(プロフ) - 湯豆腐さん» とても嬉しいコメントありがとうございます^ ^ なかなか試行錯誤しておりますが、私なりの彼等を楽しんで頂ければと思います。お話いっぱいになり移行しましたので、次も末永く応援頂けると嬉しいです! (2018年4月26日 21時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - 花恋さん» お返事大変遅くなりました。時間が空きながらの更新ですが、それでも楽しみにしてくれる方々にとても感謝しております。またお話増えましたので、お時間ある時にでもちらりと覗いてみて下さい^ ^ お待ちしてます。 (2018年4月26日 21時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - なななさん» お返事大変遅くなり申し訳ないです。応援ありがとうございます!時間が出来また更新し始めたので、これからも気長に見守って頂ければ嬉しく思います^ ^ (2018年4月26日 21時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - 夜星さん» お返事大変遅くなってしまいました。最近時間が出来たのでゆるゆると更新しております。暇な時にでも覗きに来ていただければ幸いです^ ^ (2018年4月26日 21時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
湯豆腐(プロフ) - 匿名さんがかくジンくんとマホトくんが一番好きです。匿名さんも大好きです。これからも応援してます! (2018年4月25日 19時) (レス) id: 65ae9a78b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:匿名 | 作成日時:2017年7月10日 7時