18.ぜったい帰らない ページ18
SIDE.SOUMA
詳しく話を聞くと、どうやら彼女は実家を飛び出してきて彼氏の家に住んでいたみたいだった。止められたのにも関わらず強引に実家を出た理由は「楽しそうだったし、実家が学校から遠かったから」らしいが、理由があまりにも短絡的だし今の若い子は後先考えずで怖いなぁと３０歳手前の俺はしみじみ思う。若気の至りだと呟いた俺に彼女はすかさず反論した。
「若いからいいんですよ」
確かにそうだけど、人に迷惑をかけてまで若気の至りしちゃいけない。きちんと節度を持って、そこそこの”若気の至り”をしなくちゃ駄目なのだ。そうでしょうと同意を求めると、彼女は不快そうに眉をひそめる。
「…あなた達にだけは言われたくないです」
呆れた様子で呟いた彼女に心をぽきっと折られた俺は、もう言葉を発するのをやめた。本当、その通りですねとしか言えない。黙り込んだ俺を横目に、時計をチラリと見上げたマホトが「もう今日は泊まっていきな」とAちゃんを促す。
「明日、ステップに家まで送ってもらえばいい」
彼の言葉にステップ？と尋ねようとした彼女だが、それをやめて頭を左右に振った。途端に気遣わしげな様子でAちゃんを見たマホト。
「なんで？」
「家には帰らないです」
「じゃあどうするの」
「幾らでも行く処はあるから」
必要無いと言い切る彼女に、マホトは至極困ったような顔で口を紡ぐ。
「要は、家飛び出したから戻りにくいって言いたいんでしょ？」
煙草の煙が天井を舞い、ジン君の言葉にAちゃんは部が悪そうに俯いた。彼女は一言もそんな事を言ってないけど、きっとそうなのかも知れない。でも何処か素直じゃない彼女は髪を掻き上げてジン君に冷たい視線を向ける。
「そんな事言って無いし、そうだとしても他人にとやかく言われたくない」
「その他人に助けて貰ったのはお前だろ」
気怠げに溜息を吐いたジン君へ反射的に不快な表情をしたAちゃん。
「あたし、助けてって言ってませんから」
沈黙する空間を副流煙が灰色に染めていく。俺はハラハラしながら彼等のやり取りを眺めていた。
「はいはい、もう終わり」
緊張の糸を断ち切るように、”終わり”ともう一度繰り返したマホトが二人の前に両手を出す。
「ごめんAちゃん。無理に解決することも無いね、明日考えよう」
今日はもう寝ます。マホトのその一言は少し強引だったけど、この場を収めるのには丁度良かったらしい。彼の言葉に気が抜けたのか、みんなは欠伸をして各々部屋を出て行く。その中で彼女だけは、ひどく気を張ったように何処か一点を見つめていた。
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匿名(プロフ) - 湯豆腐さん» とても嬉しいコメントありがとうございます^ ^ なかなか試行錯誤しておりますが、私なりの彼等を楽しんで頂ければと思います。お話いっぱいになり移行しましたので、次も末永く応援頂けると嬉しいです！ (2018年4月26日 21時) (
レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - 花恋さん» お返事大変遅くなりました。時間が空きながらの更新ですが、それでも楽しみにしてくれる方々にとても感謝しております。またお話増えましたので、お時間ある時にでもちらりと覗いてみて下さい^ ^ お待ちしてます。 (2018年4月26日 21時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - なななさん» お返事大変遅くなり申し訳ないです。応援ありがとうございます！時間が出来また更新し始めたので、これからも気長に見守って頂ければ嬉しく思います^ ^ (2018年4月26日 21時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
匿名(プロフ) - 夜星さん» お返事大変遅くなってしまいました。最近時間が出来たのでゆるゆると更新しております。暇な時にでも覗きに来ていただければ幸いです^ ^ (2018年4月26日 21時) (レス) id: 5ddf379a2d (このIDを非表示/違反報告)
湯豆腐(プロフ) - 匿名さんがかくジンくんとマホトくんが一番好きです。匿名さんも大好きです。これからも応援してます！ (2018年4月25日 19時) (レス) id: 65ae9a78b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：匿名
| 作成日時：2017年7月10日 7時
