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初任務は、アッサリとクリアできた。
え?アッサリし過ぎじゃない?
まだ鬼になって日が浅い奴だったのだろう。
たまたまレベルが低過ぎる鬼を回されただけだ。
「次ハアッチ!」
鴉に言われ、次の任務へ向かう。
一日中歩きっぱなしだ。
足の裏が痛い。
あと、眠い!
いつもなら、この時間は眠ってるのに。
選別の時は、決められた期間内だけ昼夜逆転生活を送っていたけど、鬼殺隊に入ったら、全ての悪鬼を殺さない限り、不安定な生活習慣を強いられるのだろう。
うわぁん、ブラックだよぉ!
でも、接客業よりこっちの方が私は向いてる気がする。
私の肩に止まってる鴉は、じっと真正面を見ている。
静かだなぁ……
梟や虫の鳴き声も聞こえない。
不気味だ。
ガサッと、音がした。
鴉は翼を広げて飛び立ち、空を滑空する。
私は刀に手をやり、音のした方を向いた。
茂みの奥から足音が近付いて来る。
「鬼」
鬼の気配だ。
真っ直ぐこちらへ歩いてきている。
「人間!しかも女!しかも顔もいい!!」
姿を現した鬼は、私を見て嬉しそうに口角をあげた。
「おい人間!」
まさか鬼に話しかけられるとは思わなかった。
「青い彼岸花は知っているか?」
青い彼岸花?
彼岸花といえば、墓地に咲いているのを見かけたりする。
確か、毒があるんだっけ?
彼岸花といえば赤い色をしている。
青色の彼岸花なんて見た事が無いし、そんなものがあるだなんて知らなかった。
「知らない」
「じゃあ死ね!」
理不尽!
正直に答えたらいきなり攻撃してきやがった!!
私は攻撃をかわして、刀を抜く。
息を深く吸って、酸素を身体中に巡らせる。
「お前、速いな!」
今まで戦ってきた鬼より、断然強い。
動きが目で追えない。
ギリギリでなんとか攻撃を避けている。
相手の攻撃、掠っただけで致命傷になりそうだ。
「お前もな!」
私がキレ気味に返したら、鬼は嬉しそうに笑った。
「そうだろう!俺は速い!なんて言ったって、俺は下弦の弐だからな!!」
「何それ?!かげんのにっていう名前なの?!?」
鬼がピタリと動きを止めた。
「十二鬼月を知らないのか?」
「知らない」
私が首を横に振ると、鬼は大きく息を吐いた。
あの鬼は攻撃態勢をとっていないのに、全く隙が無い。
今攻撃しても、きっと返り討ちされてしまう。
「十二鬼月っていうのはな、あのお方直属の配下だ」
「あのお方?」
「俺を鬼にした方だ」
私の質問に、丁寧に答えてくれた。
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作者名:そうや | 作成日時:2020年8月14日 10時