検索窓
今日:69 hit、昨日:2 hit、合計:13,741 hit

ー45ー ページ46

「そろそろ着きますよ!」


隠の人がわざと激しく動きやがったので、嫌でも目が覚めた。
揺り籠がいきなりジェットコースターに変化した感じである。

何だこの劇的すぎるビフォーアフターは?!
アフターしなくていいよ。
背負っている私を起こすためとは言え、わざわざ走ってジャンプしなくてもいいと思う。


「おっ……起きました!起きましたから!」

「あ、起きましたか!」


ピタリと動きを止める隠の人。

頭がグワングワンする。
人におんぶされて酔うとは思わなかった。

隠の人は私を下ろすと、沢山の木がある所を指さした。


「あそこが目的地です」

「あ、はい」


乱れた髪と着物を正しながら返事をする。

もう目で見える範囲まで来たのか。
殆ど背負われていたけれど、長かったなぁ。
もう日が傾いているし……

隠の人の後を追う様に歩く。


「お嬢さん、顔色が悪いですけれど、大丈夫ですか?」

「貴方がわざと走ったり跳んだりして、酔いました」

「済みません。いきなり体に触れるのは良くないと思ったので……」

「私を背負ってる時点で私の体に触れているので、そういう心配は意味がないと思います」


元はと言えば、私が寝ていたのが悪いのだけれども……
それにしても、もっと別の起こし方は無かったのかな?

数十分歩けば、育手が住んでいるであろう家に着いた。
隠の人が玄関の戸をノックする。


「済みません、佐々木さんの手紙の件で来ました」


昨日鴉に手紙を持たせた人は、ササキと言う名前らしい。
どこにでも居そうな名字だな。

室内から足音が聞こえてくる。
ガラッと玄関の戸が開いた。


「……は?」


戸を開けたその人は、私を見て大きく目を見開いた。
私は自分の顔から表情が剥がれ落ちるのが解った。

何でコイツが此処に居るんだ?

私の記憶より随分成長しているが、すぐに気付いた。

黒い髪に、鋭い目つき。
そして何と言っても、首につけてある勾玉は、ソイツだと、そう示している。
痩せこけていて私より背が低かったのに、目の前のコイツは、肉付きも良くなっており、私と同じくらいの身長になっている。

見開いていた目をジト目に変え、僅かに眉根を寄せた目の前の人物は、私を見てこう言った。


「お前が貰って来た柿、渋柿だったぞ」

「……は?」


一瞬、何を言われたのか解らなかった。
コイツが何を言っているのか解った瞬間、私は大きく息を吐いた。

久しぶりの再会なのに、他に言う事無かったのかよ 勾玉野郎!!!

ー番外編ー→←ー44ー



目次へ作品を作る
他の作品を探す

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
11人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 転生トリップ , 獪岳   
作品ジャンル:ラブコメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:そうや | 作成日時:2020年6月7日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。