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特に苦でもなく、なんの感情も抱いてなかった婚約者に対して、不快感を持ってしまった。
人は、相手のことを苦手だと思った瞬間、その人の悪いところが嫌に目立って見えてしまうのだ。

コイツ、私の顔ばっかり見てるなぁ……とか。
私の意見を聞こうという選択肢が無いんだなぁ……とか。

私が少しでも笑顔をやめようとすると異常に心配してくるのだ。
いつでもニッコニコの笑顔で過ごしていると思っているのだろうか?

沙代は私の笑顔が素敵だと褒めてくれたが、いつも笑顔でいる必要はなかった。
勾玉野郎は私の笑顔をひどく嫌っていた。理由は知らない。
私が笑うと、アイツはものすごく不機嫌になっていた。
……懐かしい……

現実逃避をしながら、婚約者の話を右から左に聞き流す。

夕方になったので、お手伝いさんと家に帰れば、祖母と父と兄がリビングで喧嘩をしていた。


「あんな小娘に、うちの家紋を背負わせる訳にはいかないのよ!!」

「母さん、Aは私達の娘です!」

「あんなの、アンタの娘でも私の孫でも家族でも無いわよ!!」


何か言い合っている。

兄は私に気付いたのか、私の手を引いて、私を自室に連れて行った。


「何があったんですか?」


私がそう聞くと、兄は苦笑した。


「黒紋付の話だよ。家紋をね、入れなきゃいけないんだけれど」


くろもんつきって何?

と、私はそれ以前の問題だった。


「……Aは気にしなくて良いよ」


兄は私の頭を優しく撫でた。

いや、気にするわ!!
喧嘩の原因、私でしょ!?
くろもんつきと言うやつが、どう関わってるのかは知らないけれど!

祖母は私を受け入れたくないらしい。
そろそろストレスで泣きそうだ。

お手伝いさん達からも陰で悪口を言われているし、祖母は私を家族として見てないし、婚約者は好きになれないし……


「明日、Aに新しい本を買ってこよう。隣町にちょうど用事があってね」

「あ、はい。ありがとうございます」


兄はお礼を言う私を見て、優しく微笑んだ。

暫く兄と話していると、夕食が出来たとお手伝いさんが呼びに来た。

正直、あんな言い合いをしていたリビングには行きたくない。
が、お腹は空いているし、せっかくお手伝いさんが夕食を作ってくれたので、渋々だがリビングへと向かう。

祖母は帰ったのか、リビングには居なかった。
母は今日も体調が優れないのだろう。母もリビングには居ない。

椅子に座り、ご飯を食べる。
いつも以上に、味は感じなかった。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 転生トリップ , 獪岳   
作品ジャンル:ラブコメ
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作者名:そうや | 作成日時:2020年6月7日 21時

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