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女の人は不死川と名乗った。
不死身そうな名前だなぁという、小学生みたいな感想しか出てこない。
可愛らしい小柄な女の人なのに、強そうな苗字だ。
子供が家に居るので、早く家に戻らないといけないらしい。
それは大変だ。
私はすぐにお手伝いさんにその事を伝えた。
「もう日が暮れてます。外を出歩くのは止しましょう」
「えっ、でもっ……」
不死川さんはとっくに成人済みだけぜ??
子供じゃないんだから、日が暮れて少し経った時間くらいなら___
「人食い鬼が出ますので、早朝に戻りましょう」
お手伝いさんはダメの一点張りだった。
父も母も、ダメだと言う。
兄も。
鬼……
鬼灯様がすぐに思い浮かんだが、あんなドSで社畜な鬼とは違うのだろう。
人を食うらしい。
約ネバの方の鬼に近いのかな?
あ、もしかしたら鬼滅?
約ネバと鬼滅はアニメしか見てないから、詳しくは知らないけど!
来客用の寝室に戻り、外に出るなと言われた事を不死川さんに伝える。
不死川さんは子供が心配で泣いてしまった。
「不死川さんのお子さんは、どれくらいの年齢ですか?」
来客用の寝室のベッドに座っている不死川さんに質問した。
「貴方のお兄さんと同じくらいの歳の子と、貴方より少し歳が下の子と___」
おおっとぉ?!
予想してたより、子供多いなぁ!!?
子供は全員で七人いるらしい。
子沢山である。
「私の兄と同じくらいの歳の人が居るなら、大丈夫ですよ」
子供の成長は本当に早くて、時には残酷だ。
前世の私は独身だったし、当たり前だが子供なんていなかったが、親戚の子や友人の子供とは何度も関わった事がある。
親戚の子にお年玉をあげた時、小学生までは千円で喜んでたのに、中学に上がった途端に「これだけかよ」とか言いやがったからな。
小六から中一までの間に何があったのかは謎だ。
……これは例えに出しちゃいけない類のものだなぁ。
もっと別の……えぇっと……
「私の知り合いに、四歳の女の子がいるんですよ」
「えっ?」
突然語り出す私を不審に思ったのか、不死川さんはキョトンとした表情になった。
私は構わず言葉を続ける。
「その女の子は読み書き全くできなかったのに、私がひらがなの読み方を教えたら、次の日には殆どのひらがなを覚えたんです。子供の成長って、とっても早いんですよ」
だから、えーっと……
ダメだ!言葉が纏まらない!
吃る私を見て、不死川さんは笑みを零した。
不死川さんは笑顔も可愛かった。
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作者名:そうや | 作成日時:2020年6月7日 21時