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「君の名は、何という?」


君の名は。
有名映画が脳裏にフラッシュバックしたが、巫山戯ている場合じゃねぇ。

このお寺で生活をして数日経ったある日、お坊さんから質問された。

名前……

今世で、私は物心ついた頃から一人だった。
前世の記憶は思い出したのに、親の顔や胎内記憶は全くと言っていい程思い出してない。
私の記憶の優先順位的には、前世の記憶の方が必要だったのだろうか?

というか、私を産んだ親も問題だ。
子供を産んだのなら、子供が自立するまで面倒みろよ!
育てられないのなら、産むんじゃねえよ!!

一人で思考回路を脱線させて居ると、なかなか口を開かない私を心配したのか、お坊さんがオロオロしだした。


「あ、えっと……Aって、言います。私の、名前……」


私は慌ててそう言った。

まだ見ぬ親に悪態ついてたなんて言えねぇ!


「そうか。私は、悲鳴嶼行冥という」


ギョウメイ、が名前なのだろう。
私の決して広くない前世の人脈の中の知り合いには、ヒメジマという人はいなかった。
私からすれば珍しい名前だと思う。

そもそも、二次元の人物って、大体が珍しい名前なのだ。
ハイキューの田中さんとかヒプのブクロ三兄弟は別だが。
ヒロアカはすごい。名が体を表して居るのだから。


「どんな字を書くんですか?」


そう尋ねたら、お坊さんは目を見開いた。


「文字がわかるのか?」


ヒョエッ!?

孤児が、文字を知って居るなんて、普通有り得ない。

しくじった……

頭を回転させろ!
もっともらしい事を言って、ごまかせ私ぃっ!!!
今世でも、文字を見た事は何度もあるんだ!


「迷子の子の親を探したら、お礼にと本をもらいました。その時に、読み方もある程度教えてもらいました。簡単な文字なら読めます」


なお、その出来事は何年も前の事である。
その時もらった本は、もらって数カ月後に盗まれてしまった。
古本だったし、売ってもろくな金額にはならないだろう。
しかし、嵐の時は、あの本を読んで時間を潰していたのだ。
盗んだ奴、絶対許さん!


「そうか」


お坊さんは納得したのか、静かに頷いた。

よかった。
なんとか乗り切った。

ボロを出さないようにしないと……!

いつか不信感が募って、なんかヤベェ事になりそう。
語彙力なさすぎて笑えない。

お坊さんは紙と筆を持って来て、名前を書いてくれた。
達筆すぎて読めなかった。
私の名前もひらがなで書いてくれた。

なんか知らんけど、勝手に涙が出て来た。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 転生トリップ , 獪岳   
作品ジャンル:ラブコメ
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作者名:そうや | 作成日時:2020年6月7日 21時

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