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真新しい着物に身を包んで廊下に出た。
お手伝いさんは私を見て、持っていたトレイを落とした。
ガッシャーン！と、物凄い音が廊下に響く。
そのまま私は部屋に戻された。
「お、おっ、お嬢様！！？着物の着方がめちゃくちゃです！！」
怒られた。
帯を外され、着物を脱がされる。
「お端折を作ってください！あぁっ！！長襦袢も着てないじゃないですか！！」
おはしょりって何？
ながじゅばんって何？？
肌襦袢とどう違うの？！
混乱して居る間に、私はお手伝いさんに着付けし直された。
あっるぇ？
可笑しいなぁ？
今までの着物の着方と全然違う……
「ありがとうございます」
「お気になさらず」
お手伝いさんはニコリと笑った。
仕事だもんね！
ごめんなさいね！
服もロクに着れなくて！！
「顔色も随分良くなってますね。さぁ、奥様達の所へ行きましょうか」
お手伝いさんに案内され、リビングへと通された。
そこには、夫婦と、私より年上であろう男の子がいた。
夫婦は着替えた私を綺麗だと褒めてくれた。
お手伝いさんが着付けてくれたからね。
帯紐に勾玉を通したら、お手伝いさんが「何やってんだコイツ」と言いたげな顔をされたけどね！
夫婦は自己紹介を軽くした後、自分たちの子供を紹介した。
子供いたのかよ。
何で養子に私を引き取ったの？
夕食の時間になり、テーブルマナーを叩き込まれた。
ファミレスでしかナイフとフォークを使った事ないからね。
高級レストランに行ったこともないしなぁ……
完食するまで時間がかかった。
ご飯は冷めても美味しかったです。
でも、光里さんの作った料理の方が美味しかった。
二日目は、着付けを教えられ、食事中はテーブルマナーを叩き込まれ、歩き方、言葉遣いも矯正されられる。
夕方、自室に戻った私は虚無ってた。
「お寺に戻りたい……」
これがホームシックってやつかぁ。
窮屈だ。
着物も、生活も。
家族もお手伝いさんも優しいが、この生活は私には似合わない。
沙代と勾玉野郎に読み書きを教えて、ご飯を作って、本を読んで……
泣きそうになるのを必死にこらえる。
「A」
コンコンとドアがノックされた。
泣きそうなのを悟られない様に、数回深呼吸をしでドアを開ける。
廊下には兄がいた。
「……兄さん」
「大丈夫か？」
「あ、はい」
反射で頷く私。
兄は優しく微笑んだ。
「何かあったらすぐに言いなさい。血は繋がっていないが、家族だから」
優しいなぁ……
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作者名：そうや | 作成日時：2020年6月7日 21時
