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湯船に浸かり、お風呂から上がった。
勾玉野郎は、沙代の様に私から離れ様としなかった。
勾玉野郎と遅めの夕食を食べた。
夕食を食べ終えても、勾玉野郎は寝床に行こうとしなかった。
先生が、明かりがついていることに気付いたのか、部屋に入って来た。
「どうした二人とも……あぁ、獪岳はさっきまで寝ていたから、眠くないのか……」
「は……？」
勾玉野郎が、呆然と先生を見た。
パクパクと、口を開いたり閉じたりしている。
私は先生に声をかける。
「先生は、今から寝るんですか？」
「あぁ。あまり夜更かしはしない様に」
先生は私と勾玉野郎の頭を撫でると、自室へと戻った。
「……おい、麻呂眉……」
勾玉野郎は、何かがプツンと切れたのか、無表情で私を見ている。
「お前は、俺が嫌いか？」
「嫌いではない」
「そうか」
「俺は、お前等を殺したい」
勾玉野郎の声は震えていた。
「殺してどうなるの？」
「お前がどこにも行かなくなる」
とんでもねぇヤンデレ思考になってやがる！！
「殺したら、勾玉野郎が生きていけなくなるよ」
できるだけ冷静を装い、いつもと変わらぬ声色を心がける。
勾玉野郎は目を伏せた。
「……」
「別に、養子になったからって言っても、一生会えなくなる訳じゃないよ」
勾玉野郎の背中を撫でる。
「手紙だって書くし、たまには此処に帰ってくる」
ね？と、言聞かせる。
返事は何も無かった。
勾玉野郎は、私の手を引くと、明かりを消して、ゆっくりと寝床へ向かった。
とっくに皆は寝ていた。
沙代は、私と勾玉野郎がいつも寝ている所に陣取って眠っている。
沙代を壁際に移動させ、私と勾玉野郎は眠りについた。
勾玉野郎は情緒不安定なのだろう。
私を抱き枕にして眠った。
絞め殺されるんじゃないかと一瞬ヒヤッとしたが、全然そんなことは無かった。
翌朝起きると、勾玉野郎はいなかった。
朝食の時間になっても、勾玉野郎は戻って来なかった。
「アイツ、何処行きやがった！！？」
貴重な食料を無駄にする気か？！
正気か？！
信じられん！！
もったいないおばけが出てくるぞ！！？
勾玉野郎を探そうとしたが、やらなきゃいけないことがあるので、それを先に済ませる。
洗濯物を洗って、干して、掃除をして＿＿＿
「麻呂眉」
勾玉野郎に呼ばれたので、声のした方向を見た。
其処には、勾玉野郎と、知らない人が居た。
私はすぐさま勾玉野郎を睨むのをやめて、笑顔を貼り付けた。
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作者名：そうや | 作成日時：2020年6月7日 21時
