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勾玉野郎の顔が真っ赤な理由に気付き、私は焦る。


「ち、違っ……文字をそのまま読んだだけであって……」


やばい。
自分でも顔が赤いのが解る。
そして、数秒後に私は後悔した。

クソっ……!
勾玉野郎を揶揄うチャンスだったのに……!

え〜?何照れてんの〜?
お前が指さした文字を読んだだけなのに〜??
って!
鼻で笑ってさぁ!!


「そっ……だって、俺っ……」


耳まで真っ赤にして、視線を右往左往させる勾玉野郎。

何だこのどうしようもない空気。


「俺は!!文字が読めないんだよ!!!」


勾玉野郎が両目を力強く瞑って叫んだ。


「そんなの知っとるわ!!!!」


私も叫び返した。

二人して、ゼェゼェと肩で息をしている。
顔の熱はなかなか引かない。


「二人とも!喧嘩はダメだよ!!」


スパーン!と勢いよく戸が開いたと思ったら、クソデカボイスで注意された。
私と勾玉野郎はすぐさま距離を置いた。
私は蹲り、勾玉野郎は誰を追い詰めるわけでもないのに一人で壁ドンしている。


「……何してるの?」


私達の様子を見て、部屋に入ってきた子は困惑していた。


「ウルセェ。説得力のかけらも無ぇ事言ってんじゃねぇよ……」


勾玉野郎がその子を睨んだ。
私は深呼吸を数回する。

よし、大丈夫。
顔の熱が引いた。

勾玉野郎が文字を読めないのはだいたい察していたし、此処に住んでいる殆どの子は読み書きができない。
誰も教えないし、本人達も自分から進んで学ぼうとしないのだ。
今は読み書きができなくても、生活には困らないのだけれど……


「獪岳ばっかりお姉ちゃんと一緒にいてズルイ!」

「たまたまだろ」


即答する勾玉野郎。

そうだよ。
たまたま、こいつが私にちょっとだけ罪悪感を持っていて、洗濯物を畳むのを手伝ってくれただけだ。
さっきのアレは事故です。


「ねぇ〜、お姉ちゃん。一緒に遊んでよ〜!」

「後でね。私はこれからご飯を作らなきゃいけないから。その間、獪岳と遊んでいなよ」

「はっ??」


子供を押し付けたら、勾玉野郎は嫌悪感丸出しの顔で私を睨んだ。
子供はそんな勾玉野郎を見て、全力で拒否をした。


「やだよ!わたし、お姉ちゃんと遊びたいの!獪岳怖いもん!!」


ドストレートすぎる。
勾玉野郎は、今にもこの子を殴りそうだ。


「じゃあ、わたしの手伝いをしてよ。そしたら、早く一緒に遊べるよ」

「わかった!」


わたしは子供に手を引かれ、台所へ向かう。

勾玉野郎の人徳は、破滅的らしい。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 転生トリップ , 獪岳   
作品ジャンル:ラブコメ
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作者名:そうや | 作成日時:2020年6月7日 21時

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