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勾玉野郎が熱で寝込んで数日が経った。
容体は全く変わっていない。
風邪を拗らせているのだろうか?

医者を呼ぶ金がない。
金自体はあるが、それを使ってしまえば、皆がご飯を食べられなくなってしまう。
久方ぶりに晴れたので、子供達は外へ遊びに出て行った。

私は今までのストレスを発散するべく、小一時間 ひたすら薪を割っていた。
すぐに疲れたし、薪も十分確保できたので、部屋に戻る事にした。


「おい……」


廊下を歩いていると、壁に手をつきながら歩いている勾玉野郎が声をかけてきた。
勾玉野郎は私を睨みつける。


「俺は、動くなって、言っただろ……」

「やることあったし」

「アイツ等の方が大切かよ」

「別にそういう訳じゃないよ」


私は軽く笑ってみせるが、勾玉野郎は気に食わないのか、舌打ちをした。


「おい、肩貸せ」

「どこ行くの?」

「喉が渇いた」

「私が持ってくるから」


私は勾玉野郎に肩を貸すと、先生の部屋に戻した。
勾玉野郎を布団に寝かせる。


「先生は?」

「は?知らねぇよ」


あっそうですか。
先生は買い物かな?


「おい、何処に行く」

「水持ってくるんだよ。お前が喉が渇いたって言っただろうが」


さっきの出来事、覚えてないの?
トリ頭??
それとも金魚みたいに残念な記憶力なの??

私はさっさと水を汲んで、さっさと勾玉野郎の元へ戻った。


「はっや」

「勾玉野郎が寂しそうだったから」

「寂しくねぇ」

「どうだか」


軽く笑った私を見て、勾玉野郎は舌打ちをした。
私はそれを軽く受け流し、勾玉野郎に水を飲ませる。

強がる精神力はあるらしい。
病気に罹ると、精神的にも弱っていくのに。

勾玉野郎の体は熱い。
汗をかいているのに、体の熱は逃げてない様だ。

お医者さんに診てもらうのが一番だが、金銭的に余裕がない。

私は苦しそうな勾玉野郎のお腹辺りを、掛け布団越しにポンポンと一定のリズムで叩く。


「……何すんだよ」


勾玉野郎は嫌がっている。


「こうしてた方が寝やすいかなって」


前世の幼少期に、母親や父親がやってくれてたやつだ。
これをしながら子守唄を歌っていた。
子守唄は忘れたので、私は歌えない。

私を睨んでいた勾玉野郎は、ウトウトし始め、数分もしないうちに眠りについた。
所詮子供である。

それにしても……
勾玉野郎がこのままでは困る。

小遣いはあるのだ。
駄菓子を買える程度の。
当たり前だが、足りない。


「……売るかぁ」


それしか方法はなかった。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 転生トリップ , 獪岳   
作品ジャンル:ラブコメ
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作者名:そうや | 作成日時:2020年6月7日 21時

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