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それから、不定期ながら同居人となる身寄りの無い子供が増えていった。
今は、私や勾玉野郎を含めて子供は五人である。
年下の子から、(多分)同い年の子もいる。
自分の今の年齢は知らないけど。

賑やかを通り越して、騒がしい。
雨の日の寺の中は特に。
梅雨入りしたのか、ここ数日はずっと雨が続いている。
体力が有り余っている子供達は、外で遊べないのでストレスが溜まっているのだろう。
小さな事で喧嘩をしている。
勾玉野郎は何かと私に突っかかってくるが、それは今に始まった事じゃ無いので気にしない。

私は布団を片付けた寝室の端っこで、本を読んでいる。
この本は、先月町の人から貰ったものだ。
古本なので、所々文字が読みにくい。
恋愛物だが、何度も読み返している割には面白い。

小さい子供特有の金切り声が聞こえる。

また喧嘩してるんだなぁ。
五月蝿いなぁ。


「Aちゃあぁぁん!」


戸を開け放たれたと思ったら、子供が入ってきて、泣きつかれた。


「あのね、僕の折り紙がねっ」


しゃっくり混じりに状況を説明された。

折り紙の取り合いをしたら、折り紙が破けたらしい。

うーん……バカかな。

そして、私に泣きついてくる理由が解らない。


「私に言われても困る」


私は押し花で作った栞を、読んでいた頁に挟んで本を閉じ、泣きついてきた子の頭を撫でる。
その子は私に抱きついてきた。


「おい、A」


音もなく、勾玉野郎が部屋に入ってきた。
勾玉野郎は私を見て、顔を顰めた。


「何してんだ」

「嫌な事があったんだって」


私がそう返すと、勾玉野郎は私から子供を引き剥がした。


「Aちゃんんんっ!獪岳も意地悪してくる!!」


獪岳は泣きわめく子供を廊下にポイと放った。
扱いが雑すぎる。

放られた子供は、先生に泣きつきに行ったのだろう、ドタドタと五月蝿い足音が遠ざかっていった。


「で?何の用?」

「俺は寝るから部屋から出ていけ」

「まだ昼過ぎだけど」

「俺は寝る」


いそいそと布団を敷く勾玉野郎。


「え、本当に寝るの?今寝たら夜眠れなくなるけど?」

「ウルセェ。黙れ」


こめかみを押さえた勾玉野郎は私を睨んだ。


「早く出ていけ」

「やだよ。他の子達、五月蝿いし」

「チッ」


勾玉野郎は大きく舌打ちをすると、掛け布団を頭まで被った。
私は再び本を読む。

賑やかなのは嫌いではないが、いつも賑やかだと五月蝿いと感じてしまう。
あと、賑やかな雰囲気に包まれると、普通に疲れる。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 転生トリップ , 獪岳   
作品ジャンル:ラブコメ
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作者名:そうや | 作成日時:2020年6月7日 21時

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