【鬼滅の刃】ニワカなんで（1） (ページ2)

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画面の前の良い子の皆ぁっ！こーんにーちは～！！

と、教育テレビの歌のお姉さんバリのテンションに無理やり上げたいが、いかんせん今の私にはそんな気力も体力も無い。

私は何処にでも居る前世の記憶持ちの女の子だ。
ただ、前世の私は平成&令和を生きた人間なのに、なぜか過去の時代に転生していた。
だって、軒並み木造建築ばっかりだもん。
皆、着物着てるんだもん！
いつの時代かわからないけど、この時代は私が前世で生きていた世界では無いのは確かだった。
訳ワカメにも程がある。

ちなみに、前世の記憶を思い出したのはつい三日程前の事である。
久しぶりに雨が降って、水たまりの水を飲もうと水たまりを覗き込んだら、そこに映り込んだ自分の姿に違和感を覚えたのだ。

私は麻呂眉じゃねぇ！！と。

水たまりに映る私は、二次元のキャラクター特有の、大きな目に小さい鼻、細い首をしていた。
可愛らしかった。
痩せこけて顔色が悪いが、とても可愛いのである。自分でいうのもアレだが。
道行くそこらへんの人よりも顔面偏差値が高い。

自分の顔じゃないと気付いて数分すると、あろうことか前世の記憶が脳に一気に流れ込んで着たのである。
走馬灯かよ。走馬灯見た事ねぇけど。

そのまま気を失ってたらしく、気がついたら水たまりの水が乾いていた。

……死んだ。

今世の私は孤児である。親の顔すら知らない。
物心ついた頃から、そこらへんの雑草を食べたり、困っているお年寄りを助けて果物を貰ったりしていた。
親がいないので、金なんて持ってないし、その日を生きていくので精一杯だった。

人間、水分さえ摂ってれば、何も食わないでもある程度は生きていける。
しかし、久方振りの飲み水と言う名のほとんど泥水に近い水たまりすら、私はすすれなかった。

座っていいるのでさえ辛い。
その場に寝転ぶ。
土が頰や髪に着くのは気にしない。
体さえろくに洗えてないのだ。

前世の生活は、とてつもなく楽だったなぁ。
その生活を知ってしまっては、精神が(バッキバキに複雑骨折しまくり、もはや)粉々になるなんて簡単だった。

胃も諦めたのだろう。お腹すらならない。

このまま死んでしまった方が楽だ。
来世に期待しよう。
今世の私は享年一桁でした。
残念ですね。

とうとう瞼さえ重くなってしまった。

瞼を完全に閉じようとした時、影がさした。

「君、私と一緒に来るか？」

私に手を差し伸べてくれたのは、神様でも女神でもなく、痩せ細ったお坊さんだった。