交換条件 ページ33
【夢主目線】
?「お久し振りですな、森先生。こうして戦場以外で面会するのは実に何年ぶりでしょうかな。」
長らく外に出ていなかったので其の晴天の空から射し込む光が酷く目を刺して視界を阻む。
しかし、この声の主には聞き覚えがある。
首領「そうですね。お互い、見ない間に少々老けましたな。福沢殿。」
───矢張り探偵社社長自らが赴くとは。
これは並の取引では無い。
社長「雑談はまた後日とさせて頂きますぞ、人目に付くと困りますので。其れに、此の取引を誰もが快く承諾した訳ではありませんからな。」
太宰「───御尤もです。社長。こんな取引は早めに破談した方が共倒れの可能性を防げると思ったのですが。」
───────太宰さん!?
私は俯いていた顔を上げた。
すると、不意にも彼と目が合って彼は変わらず柔らかな微笑みを見せた。
太宰「此方もお久し振りだね。Aちゃん。また少し大人びたかな?」
Aちゃん………?私の名前。何故今の今まで忘れていんだ…?
そうだ私の名前はAだ。
もう決して忘れてはならない。
私は自分の心にそう言い聞かせて太宰さんの問いかけに対して微笑んで会釈をしてから、それ以降は彼と目を合わせないようにした。
何せ、太宰さんと視線を交わらせればまた心の奥底を見透かされて仕舞うようで厭だった。
首領「おや々、太宰君。“共倒れ”なんてことは有り得ないのだよ?仮に探偵社が失態を犯せば我々は容赦無く見放すだけだからね。」
上で火花が散っているのが見なくても分かる。
考えただけで恐ろしいこの状況を私はただ、固唾を呑んで見守るしかなかった。
太宰「嗟呼、そうでした森さん。幼少の頃より貴方に散々教え込まれましたね。」
太宰「───“縋り付く者は仲間であろうと利益を損なう者なら蹴り落とせ“でしたっけ?」
首領「……フフ…其の教訓を覚えているとは流石私が見込んだ子だ。」
太宰「もう私は子供ではありませんよ。故に扱いには充分注意なさった方がよろしいかと。」
─────コツ…コツ…コツ……。
太宰さんが此方側に歩み寄って来る。
そうして首領の真横で足を止めた。
そして、太宰さんは首領の耳元で聞こえるか聞こえないかという程の小さな声で言った。
太宰「───この先、何時私が貴方を蹴り落とすか分かりませんから。」
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葵(プロフ) - 飽き性さん» ご丁寧なご指摘ありがとうございます(/Д`;応援ありがとうございます(^^♪頑張ります! (2018年8月1日 13時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
飽き性(プロフ) - 本編の方で福沢が福澤になってますよ。この小説大好きです!通知来る度うきうきしてます!無理せずこれからも更新頑張って下さい! (2018年7月31日 2時) (レス) id: 7dd1ea514d (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - 雪奏さん» お気に召して頂けた様で大変嬉しく思います(^^♪どうか最後までお付き合い下さい(^ ^) (2018年7月25日 19時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
雪奏 - すごく面白いです!応援してます!壁|ョ・ω・`o)ガンバッテッ♪ (2018年7月22日 22時) (レス) id: edf769ece4 (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - #祭鼓*@harigaya mako*さん» 応援のコメント大変嬉しく思います!最近仕事の方が激務を増して今して忙しいので更新が滞っていますがどうか最後まで読んで頂ければと思っております(^ ^) (2018年6月18日 23時) (レス) id: 85af478746 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えりんぎそーまっち | 作成日時:2018年6月9日 18時