159話【過去編】 ページ10
限side
走って。走って。走って。
それでもアイツは見つからない。
上がる心拍数。滴る汗。
もう夕飯の時間だ。
きっと亜十羅達も俺が居ないことに気付く頃。
今日はここ迄でやめておくか？
一瞬そう思ったがやっぱりダメだと思い直す。
もし俺が行動しないと頭領が判断すれば、他の奴か、もしくは頭領本人がアイツを殺そうとするかもしれない。
限｢絶対、今日じゃなきゃダメだ。｣
自分に言い聞かせるようにそう呟いてまた走り出そうとした時、ふと小さな洞窟を見付けた。
俺がギリギリ通れるくらいの大きさだ。
なんとなく、その穴が気になった。
アイツなら普通に通れる大きさ。
もしかしたらこの向こうにいるかもしれない。
アイツは、あの穴の向こうに居る。
なんの根拠も無いのにそう確信した。
穴を潜りずっと進んでいく。
思ったよりも長い道だ。
限｢....行き止まり、？｣
ずっと進んだ先にあったのは壁。
手探りで周りを探ってみるがこれ以上進めそうにない。
駄目だったか。そう思って引き返そうと振り返った時、体がよろけて後ろの壁にもたれかかった。
ｽﾞｽﾞｯ
限｢....！！｣
寄りかかって動いた壁。いや、岩だ。
壁だと思っていた先は壁ではなく、穴を塞ぐように置いてあった岩だった。
通れる....！
念の為、岩を少しだけずらして辺りの様子を伺う。
大分手入れされてない草木が茂っている中に、随分と廃れた小屋が建っている。
どう見ても人が住めるような場所じゃない。
外したか？
そうは思ったが、なんとなくアイツはここに居る気がしてならない。
少し探ってみよう。
岩を退けて身体を乗り出すと、何やら人の話し声のようなものが聞こえた。
小屋からだ。
警戒して気配を消しながら近付く。
？｢ほらもっと泣き叫べよつまんねぇな｣
『ｸﾞｯ....す、みませう゛ぁあ゛ｯ....！！』
？｢俺さぁ、見てみたかったんだよねぇ。皮一枚で繋がってるってよく言うじゃん？ほんとに繋がったままになるのかって試させてよ。いいでしょ？どうせ死なないんだもん....なぁ！｣
『あ゛ぁｯｯ！！！』
ﾎﾞﾄｯ
？｢....あーあ、落ちちゃった。やっぱ皮一枚じゃ繋がんないよなぁ。つまんねぇ｣
耳を疑った。
アイツと、知らない男の声。
聞こえてくる内容が恐ろしくて、潜めた息が漏れそうになる。
ここに居ちゃいけない。
急いで引き返そうとした時、傷んだ木の板の隙間から見えたアイツはボロボロの人形のような姿だった。
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のと(プロフ) - +ちっくさん» どクソ重シリアスが好物なので泣いてくださって嬉しいですヽ(｡･ω･｡)ﾉ私もこのまで読んでくださった+ちっくさんが大好きです！！ (2021年5月12日 22時) (
レス) id: 2cc152cab9 (このIDを非表示/違反報告)
+ちっく(プロフ) - 泣かせんなよおおお！！。゜(´∩ω∩｀)゜。結界師とか懐かしいって思って読んでたのになんだよこれぇぇえうわあああ！好きだあああ！ (2021年5月12日 18時) (レス) id: 0cbf2f128f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のと | 作成日時：2021年1月15日 16時
