156話【過去編】 ページ7
限side
俺が、Aと初めて会ったのは夜行に来てすぐの事だった。
正｢限、紹介する。
俺の妹の、墨村Aだ。同い年だから仲良くしてやってくれ。｣
頭領から居間に来るように言われて行ってみれば、自分よりひと回り小さい、気味の悪い笑顔をした女を紹介された。
なんだコイツ。
何も無いのにずっとニコニコ笑って気持ちわりぃ。
限｢....やだね。そんな気味の悪い女誰が仲良くするかよ！！｣
一方的に吐き捨て、頭領の呼び止める声を無視して森へと走った。
大体、こんな所好きで来た訳じゃない。
そうやって反発して、亜十羅にも周りの奴らにも距離を置いていた頃に出会ったから、Aへの最初の印象は最悪だった。
そのまま森の中で亜十羅から教えて貰った訓練をしていると、誰かが近付いて来る音がした。
限｢誰だｯ！！｣
音に反応して敵意剥き出しで振り向けば、あの女がいた。
限｢....何しに来た。｣
『まさ兄に暫くは貴方と一緒に居ろって言われたから』
その言葉に怒りがブワッと湧き上がる。
言われたから？それで着いてきたって言うのか。
限｢ふざけるなｯ！！俺はお前なんかと仲良くしない！！大体、気持ち悪いんだよヘラヘラ笑いやがって！！！
言われたからってだけで普通ほんとに来る奴いないだろ！！お前、普通じゃねぇよ！！！！！｣
...あ、
自分の言葉にハッとする。
普通じゃない。なんて、俺が人に言えることかよ。
化け物の自分。
姉ちゃんを傷付けた自分。
自分が一番普通じゃないじゃないか。
そこから何も言えなくなって言葉に詰まっていると、アイツが口を開いた。
『ごめんね、私、普通じゃないんだ。』
そう一言だけ零したアイツは相変わらずヘラヘラとしてたが、少しだけ、少しだけ悲しそうに笑った。
....また、傷付けた。
俺はやっぱり傷付けることしかできない。
これでこの女も俺を嫌うだろう、そう思った。
どうせ俺は独りだ。
どうせ皆すぐ居なくなる。
姉ちゃんみたいに。
そう言い聞かせて訓練を再開した。
黙々と、暫く経てば居なくなるだろうと。
でも女は、いつまで経ってもそこに居た。
限｢....なんでまだそこに居るんだよ｣
日が暮れ始めた頃、我慢できずに聞いた。
『さっき言ったよ？暫く一緒居ろって言われたって。
安心して。修行の邪魔はしないから。』
やっぱり可笑しい女の発言。
それでもちょっとだけ、ほんの少しだけ。
アイツがまだそこに居ることに安心した自分が居た。
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のと(プロフ) - +ちっくさん» どクソ重シリアスが好物なので泣いてくださって嬉しいですヽ(｡･ω･｡)ﾉ私もこのまで読んでくださった+ちっくさんが大好きです！！ (2021年5月12日 22時) (
レス) id: 2cc152cab9 (このIDを非表示/違反報告)
+ちっく(プロフ) - 泣かせんなよおおお！！。゜(´∩ω∩｀)゜。結界師とか懐かしいって思って読んでたのになんだよこれぇぇえうわあああ！好きだあああ！ (2021年5月12日 18時) (レス) id: 0cbf2f128f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のと | 作成日時：2021年1月15日 16時
