187話 ページ38
ユウside
アズ｢…だから、会ってくれますか？｣
その言葉に堪えきれなくなったAちゃんの涙が目から溢れ出す。
『…ぅ、ぁ、ほんとは、ほんとはAはあいたいの。へいきはうそで。あずーるくんやさしいから、それぜんぶわかっててそういってくれてるの、A、わかるよ。』
ポロポロと綺麗な雫が床に落ちる姿を僕達はただ見ているだけしかできない。
きっと、今それを拭っていい人物は一人だけだとわかっているからだ。
『あずーるくんのやさしさにあまえてごめんなさい。めいわくかけてごめんなさい…っ』
何度も謝る小さな体をアズール先輩は優しく抱き寄せる。
アズ｢全く貴方って人は…もっと甘えていいんですよ、これはちっとも迷惑なんかじゃありません。｣
背中を擦りながら言ったその言葉は、今まで聞いてきた声とはまるで違う、とても優しいものだった。
その後、泣き疲れて寝たAちゃんを抱えてレオナ先輩が部屋を出た。
ヴィル｢一体どんな手を使って懐かせたのかと思えば、子供の扱いに慣れてるのね｣
意外だわ、と続けるシェーンハイト先輩の言葉で静かだった部屋の中が少しざわつき始める。
アズ｢まさか。ただ、彼女の目線に合わせて、同じ立場だったらと想像して行動しただけですよ。｣
席に戻ったアズール先輩がそう言えば、今まで黙っていた学園長が大きく咳払いをする。
学｢オホン！少し予定より遅れてしまいましたが…本題に入ります！！｣
そこから話された今回の事件の犯人のこと、それはとても奇妙な話で。
犯人は捕まったが、本当に捕まった人が犯人なのか。
そう思ったのは皆同じみたいだ。
真犯人がいる可能性があるとのことで、Aちゃんが元の姿に戻るまでは今の警戒態勢のままで過ごすことになった。
学｢…それで。見た感じ大丈夫そうでしたが、オクタヴィネル寮で預かっている間のAさんの様子の報告をしてもらってもいいですか？アーシェングロットくん｣
そう促されるままに話された内容は、とても痛々しいものだった。
ベッドで寝るよう促しても床で寝ること。
まともな食事が久しかったのか最初は固形物を吐き出してしまっていたこと。
自分のことを、化け物だと言っていたこと。
優しい人が怖いと言ったこと。
大事だと伝えただけで泣いて喜んだこと。
大きい声に体を震わせること。
アズール先輩の話が終わるまで、誰一人として口を開くことは無かった。
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のと(プロフ) - +ちっくさん» どクソ重シリアスが好物なので泣いてくださって嬉しいですヽ(｡･ω･｡)ﾉ私もこのまで読んでくださった+ちっくさんが大好きです！！ (2021年5月12日 22時) (
レス) id: 2cc152cab9 (このIDを非表示/違反報告)
+ちっく(プロフ) - 泣かせんなよおおお！！。゜(´∩ω∩｀)゜。結界師とか懐かしいって思って読んでたのになんだよこれぇぇえうわあああ！好きだあああ！ (2021年5月12日 18時) (レス) id: 0cbf2f128f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のと | 作成日時：2021年1月15日 16時
