168話【過去編】 ページ19
限side
細波さんの口から出てきた話は、本当に現実に起こった話なのか疑う程酷いものだった。
三歳の頃に家族から引き離され、元の名前を捨てるように【壱】と名付けられた。
理由は早く死ぬように、一番に死ぬようにと。
そして連れてこられた日から、周りの大人は毒や暴行で殺そうとしてきた。抵抗すれば代わりに双子の兄に同じことをするぞと脅されて。
でも、致死量の毒を盛られても、腕や舌を切り落とされても、何故か死ななかった。
どれだけバラバラに切り離されても次の日には死なない程度の傷にまで治っていたそうだ。
一年半、ずっと殺されて生き延び続けた。
どんなに痛くても苦しくても死ねないのはどれ程つらいモノなんだろう。
四歳になった頃、今まで偶に裏会に来ていた幸村の人間がぱったりと来なくなった。
幼馴染の親だったらしい。
Aの父から様子を見て欲しいと言われて来ていたらしく、裏会の人間も会わせないと怪しまれると思ったのか傷を隠せと無茶な命令をした上で会わせていたみたいだ。
当然、傷を瞬時に治すことなんて不可能。
それでその時に思い付いたのが式で自分の分身を作ることだった。
でも、まだ幼子だ。バレない式なんて扱えるはずがない。
違和感を感じた幸村の父は、来る度Aにこのまま一緒に帰らないかと言っていたそうだ。
ある日、いつもとは違った真剣な様子で、
次来るまでに、Aの本当の気持ちを考えていて欲しい。
そう言って別れた日から、二度と幸村の父はAの元に現れることはなかった。
そしてそれを、Aに関わったから殺したと、お前のせいであの男は死んだのだと周りの大人はAに噓を吐いた。
細「そこで、あの嬢ちゃんの心は壊れたんですよ。
自分を責めて責めて責めて。周りの大人が言うように、自分は生まれなければ良かったんだと。
死にたいと、消えてしまいたいと願うようになった。
心を閉ざしたんです。
虐待をされている子は高確率で心を閉ざすんですよ。
頭領、何故だと思います？
だって、その方が楽だから。
そういうものだと割り切って感情全部仕舞った方が傷つかないから。
何も感じない方が辛くないんですよ。
…でも、それすらアイツらは許してくれなかった。」
心を閉ざしたAは反応がないからつまらない、そんな理由で大人達はAにとって一番辛いことを考え付いた。
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のと(プロフ) - +ちっくさん» どクソ重シリアスが好物なので泣いてくださって嬉しいですヽ(｡･ω･｡)ﾉ私もこのまで読んでくださった+ちっくさんが大好きです！！ (2021年5月12日 22時) (
レス) id: 2cc152cab9 (このIDを非表示/違反報告)
+ちっく(プロフ) - 泣かせんなよおおお！！。゜(´∩ω∩｀)゜。結界師とか懐かしいって思って読んでたのになんだよこれぇぇえうわあああ！好きだあああ！ (2021年5月12日 18時) (レス) id: 0cbf2f128f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のと | 作成日時：2021年1月15日 16時
