◇ We're meant to be together 7 ◇ ページ38
彼女の言葉は真っ赤な嘘だ。
あっち側、と指さしたのは俺がいるのと逆方向である。
黒フードの男に当て嵌る俺は彼女の真後ろにあるドラム缶裏に息を潜めており、少しでも此方側に来てしまえば俺の存在はバレてしまう。
「お姉さんありがとう！」
「頑張って…ください…？」
声を震わせながらも、彼女:Aは俺を追っていた男達を嘘でその場から立ち退きさせると「大丈夫ですか」とドラム缶の後ろに隠れていた俺に声を掛けた。
フードを目深に被り、周りにまだ男達が居ないのを確認してからスッと立ち上がると今度は…はっきりと彼女の顔が見えた。
「警察に連絡しましょうか？さっきの人たち、ギャングですよね？」
「いえっ、お気遣いなく…！仲間に連絡したので大丈夫っす！あの、なんで嘘ついたんすか…？バレてたら相当危なかったと思うけど…」
「言ったら貴方が危ないですし、こうして何事も無かったので。それに警察の知り合いもいるので私は大丈夫ですよ」
彼女は俺を知らないという初対面の態度だった。
俺は数度、病院前で見掛けていたので顔は知っていたし命の恩人であることが分かる。
だが、彼女目線から声は聞いたとしても顔は見ていない。そして、目の前にいる人物が身を呈して庇った人間である事を知らない。
まさか、初対面の形でまた関わる事になるとは。
「あの」
何事も無かったように平然とした顔をする君は何度、傷ついて泣いての夜を繰り返したのだろうか。
「貴方が無事でいてくれたなら良かったです。では、私はこれで」
庇った俺を一切責めず、配慮や気遣いまでしてくれた。
そして、また"誰か"である俺を報酬も無しに助けてくれた。
「あ、ちょ、まっ…って馬鹿か俺。俺には…資格なんて無いのに…」
既に背を向け、数十m先を歩く彼女を呼び止める事は出来なかった。ずるずると壁に背を預け、その場に座り込み荒れ狂う感情をどうにか落ち着かせる。
_____やめてくれよ
顔も名前も知らない"誰か"を庇った君。
顔も名前も知ろうとしない"誰か"を守った君。
白黒の世界の中で、必死に俺を呼びかける君。
他愛もない会話をして、とびきりの笑顔を輝かせた"君"を見ていた。
「どうしよ…やっばい、好きだ」
そしてまた、君の無償の優しさに触れてしまった。
いつの間にか咲いて、跡形もなく握り潰した筈の感情が鮮明に呼び起こされる事に苦しい程の痛みを覚えた。
自覚する事さえ烏滸がましい想いが溢れ出て、胸を穿つばかり。
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ひかり(プロフ) - 完結おめでとうございます！！ドキドキしながらよませていただきました。緩急の付け方がうまくて面白かったです。個人的に作者様が描くkzhさんがイケメンだったのでいつか機会あればkzhさんメインならお話読みたいなと思いました。 (2月17日 0時) (
レス) @page49 id: 066d5681b9 (このIDを非表示/違反報告)
うなぎ(プロフ) - 完結おめでとうございます！！作中でも涙を流し、あとがきでも更なる新事実を突きつけられ涙を流しながらこの熱をお伝えせねば！という次第であります…本当に素晴らしい作品と出会えて幸せです。作者様の今後のご活躍をお祈り申し上げます！！！ (1月11日 11時) (レス) @page50 id: c9a421e797 (このIDを非表示/違反報告)
落ち椿 - 完結おめでとうございます！！drmさんの愛の伝え方が解釈一致で、終始きゅんきゅんしていました。drmさんに連れ去られるところはこのまま監'禁ルート来るか?！とドキドキしていましたが、どっちにしろ甘々で最高でした🥰番外編待ってます！お疲れさまでした！ (12月29日 13時) (レス) @page49 id: 5a9946419b (このIDを非表示/違反報告)
koko - 完結おめでとうござきます、！最後の最後まで素敵なお話でした！番外編も期待しています！これからも応援してます！！ (12月28日 19時) (レス) @page49 id: 8752385bf7 (このIDを非表示/違反報告)
qichi(プロフ) - わああ、、すごく好きです、、！！続きとても楽しみです…！！ (11月24日 3時) (レス) @page23 id: 4c2c43e5f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こりん
| 作成日時：2023年11月11日 0時
