◇ You mean the world to me ◇ ページ10
あれから、1ヶ月もの月日が経った。
だるまさんは平日でも休日でも必ずやってきてパターンを変えた告白をしにくる。
平日は殆ど仕事の帰り道、休日はオートロックが掛かっているはずのマンションに忍び込み、ベランダから現れて告白をしてくる。
どうしても来れない時(警察に捕まっている時)には、無理やり渡された専用スマホのメッセージで告白をしていた。
相変わらず私の答えは「丁重にお断りさせていただきます」の一択であるのだが、彼は挫ける所か逆に燃えているらしい。
…此方も慣れて、日常化し始めているのが怖いところである。
気にしないでいいと言われているが残業の時や早く帰る時は伝えてしまうし夜に自宅に居ない時もメッセで伝えてしまうぐらいで、母親にメッセージを飛ばしている感覚になりつつある。
「じゃあね、A」
「うん、またね」
ロスサントスに住む友人と飲み屋で別れ、人通りが多い通りを選びながら帰宅。少し喋り過ぎたのか夜が深く、街灯の光が眩しい。あちらこちらからけたたましく鳴り響くサイレンとヘリコプターのプロペラの音が聴こえてきた。何とも物騒な街である。
ふと、潮風で酔いを醒ましたいと思い何時もの帰り道から外れる。
潮の匂いと心地よい細波、冥漠の海とが私を迎え入れた。
水月と波光を眺めながら、リラックス空間を楽しみ、酔いを醒ましていると前から1台のバイクが通り過ぎる。
だがすぐに踵を返して、私の隣に違法駐車するとそこには見知った顔があった。
「ボスの女(仮)じゃん」
「違っ…う、ん…いや、女じゃないし仮でも無いです」
人目を引く赤いスーツを着こなし、麗しい美貌を月夜に差し出したGOD FAMILYの葛葉さんが煽るような口調で声をかけてくる。
1ヶ月の合間にだるまさんがボスを務めるGOD FAMILYの幹部の人と妙に距離が近くなり、外で会えば普通に声を掛けられるようになった。
昼間や告白時に見かける時は私服であるが夜に会う時、彼らは本職を全うする為の正装を纏っている。
「ボスに口酸っぱく、夜に外出んなって言われてるのに。そんなんじゃ、攫っちゃうよ〜ん？」
「警察にすぐ通知行きますよ。警察の対応は早いですしまた拘留に罰金支払う事になりますよ」
「あははッ。警察の人間ならともかく、女ひとり攫うなんてまじで余裕よ？あんたを手土産にアジトまで持ち帰りできたら、ボスめっちゃ喜ぶと思うし悪くねぇ考えじゃね？」
伏し目がちに覗いた紅い瞳は冗談とは思えない気迫を帯びていた。
◇ You mean the world to me 2 ◇→←◆ I love you" falls short of my love for you 6 ◆
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1025人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うぱ(プロフ) - 設定とか言葉遣いとかとにかく全部が好きで一気見しちゃいました。特に不穏でこわこわなボスが大好き過ぎて何度もそこを読み返してます。臨場感が凄くて読んでいる時凄くドキドキしました。これからもこりんさんの作品を楽しみにしております。 (12月20日 23時) (
レス) @page14 id: ea61eec359 (このIDを非表示/違反報告)
こりん(プロフ) - ガガさん» コメントありがとうございます。そのように仰って頂けてとても嬉しいです！ありがとうございます！こちらこそ、作品を読んで頂き誠にありがとうございます。更新頑張って参ります！ (11月10日 19時) (レス) id: 56f635f916 (このIDを非表示/違反報告)
ガガ - とっっても面白いですわくわくして読んでます、続きが本当に楽しみです！！更新を楽しみにお仕事頑張れそうです、素敵なお話ありがとうございます🙏 (11月6日 13時) (レス) @page30 id: cfa21872f6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こりん
| 作成日時：2023年10月29日 17時
