◆ I love you" falls short of my love for you 6 ◆ ページ9
「起きてたんですか?」
「いや、まじで今目覚めたとこよ…ひなーのの俺らを邪魔する声聴こえて目ェ覚めた」
「は?治療費バカ高くしようか?」
「すんません」
圧の掛かった睨みでだるまさんを黙らせたひなのさんは慣れた手つきで治療をしていく。
枕代わりに太腿を提供した訳だが、もう要らないかなと立ち上がろうとすれば「待ってぇ、俺病人なのぉ」と媚びた声を出して、場に居させようとしてくるだるまさん。
ついでに、その声を聴いたひなのさんは追加で「まじできもい…」と零している。
先程から手もギュッとして離さないし、困ったものだ。
「あんた、なんで昨日治してもらわなかったの?」
「途中までらっだぁが治してくれてたんやけど治療中に指名手配になったらしくて。しかも警察近くにおったから葛葉に首根っこ掴まれて担がれてバイク乗せられた。うちの治療出来る奴は昨日、とろろに引っ張りだされてて帰ってこなかったのよ」
「あー確かに昨日は救急やばかったもんな…どっかの誰かさんたちが強盗だの、抗争だのするせいで。はいっ、終わり。治療費高めに請求しとくから」
淡々と作業を終え、請求書を送信すると踵を返すひなのさん。愛用のカスタムバイクに乗るとそのまま去っていった。
ぽつんと残された私と相変わらず頬の筋肉を緩ませまくって、手の感触を味わっているだるまさんの間に微妙な空気が流れる。いや、感じているのは私だけか。
「…あの、無理してこなくても…目の前で倒れられたら寿命縮みますし…怪我してたなら安静にしててください」
「いやぁ、情けないところ見せてごめんな。それに、どうしても会って言いたいことだから無理。今度は倒れへんよ!!」
「毎日同じ時間に帰れるか怪しいですし待つのも大変じゃないですか。だから、毎日来なくても…」
「んー?俺は、Aを待つ時間も楽しいで?それに俺が来たくて、来てるんだからAは俺の事気にせんでえぇの」
元気が戻ったようでだるまさんは後ろ髪を引かれつつも起き上がる。手は繋いだまま引っ張られ、立ち上がるとチュッと手の甲からリップ音が鳴った。
「なっ!?」
「介護してくれてほんとありがとな。この御礼はまたさせてくれ!あと、膝枕ありがとう!寿命が100年伸びたわ!んじゃ、また明日!」
指の絡まりが解けて、2人分の熱が消えていく。
けれど、未だ残る手の甲の熱に思考は侵されたままだった。
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うぱ(プロフ) - 設定とか言葉遣いとかとにかく全部が好きで一気見しちゃいました。特に不穏でこわこわなボスが大好き過ぎて何度もそこを読み返してます。臨場感が凄くて読んでいる時凄くドキドキしました。これからもこりんさんの作品を楽しみにしております。 (12月20日 23時) (レス) @page14 id: ea61eec359 (このIDを非表示/違反報告)
こりん(プロフ) - ガガさん» コメントありがとうございます。そのように仰って頂けてとても嬉しいです!ありがとうございます!こちらこそ、作品を読んで頂き誠にありがとうございます。更新頑張って参ります! (11月10日 19時) (レス) id: 56f635f916 (このIDを非表示/違反報告)
ガガ - とっっても面白いですわくわくして読んでます、続きが本当に楽しみです!!更新を楽しみにお仕事頑張れそうです、素敵なお話ありがとうございます🙏 (11月6日 13時) (レス) @page30 id: cfa21872f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こりん | 作成日時:2023年10月29日 17時