◆ on a quiet night ◆ ページ42
帰りにニトロを使った走行ではしゃいでいたのだが、雲行きが怪しくなりゴロゴロと遠くで雷が鳴る。と思いきや、大粒の雨が急に音を立てて降り始めた。
流石に雨での走行は慎重にならざるを得ない。だるまさんから雨避けにとコートを渡されたがそれでも雨粒の方が勝り、身体が濡れていく。
「せっかくのデートやったのに…！」
なんて自然に対してクレームを付けるだるまさんと共に急いで現在の住まいとなっているタワマンへ。
風邪を引かないようにと、すぐにお風呂へ直行。かなり濡れていただるまさんを優先させたのだが…流石にタワマンと言うべきかお風呂が2個あり、何方が先に入る問題は問題になる前に片付いた。
「……」
霧雨のように降り注ぐシャワーが冷たくなった身体を温める。
『何度だってAに恋をするから俺には関係ない』
『絶対に振り向かせるからちょっと待ってて？』
先程の言葉が頭から離れてくれない。
星に負けない笑顔も、私の笑顔を褒めてくれた言葉も、抱き上げられた時に見えた彼の…心底幸せそうな顔が瞼の裏に焼き付いて、離れてくれない。何度も、忘れようとしているのに。
「…なんで」
いつもみたいにすぐ返せなかった。
あの時、だるまさんがタイミング良くコケてくれたから答えは濁されたが…完全に言葉に詰まってしまった。
___________このままじゃ、駄目だ。
シャワーの蛇口を閉め、壁に備え付けられた鏡を見つめる。
決意を固める為にもすぐにシャワー室から出て、身体をバスタオルで拭う。いつの間にか置かれていたランジェリーの色は情熱的に赤く、装飾がセクシー寄りになっている。
「んなっ……」
決意が挫けそうになるも、下着はこれしか無いので泣く泣く履くしかない。派手なランジェリーを隠すように寝巻き用のワンピースとショートパンツに着替えた。
ランジェリーに若干心は乱されたもののドライヤーで髪を乾かし、スキンケアをし終える頃には冷静さを取り戻していた。
「…大丈夫。いつかはこうなったもの」
微かに震える手をもう片方の手で包む。
『ねぇ、見た？…ふふ、あんな背中じゃ、抱かれる男の人の方が可哀想よね。事故に遭ったのは可哀想だけど…』
『酷い背中だねぇ。まだ若いのに…可哀想にねぇ』
『気持ち悪い！！』
怖い。あの人に、自分の背中を見せるのが怖い。
でも、こうでもしないとあの人は…嫌いになってくれないだろうから。
心の準備は、出来た。
◆ on a quiet night 2 ◆→←◇ I'm in love with you everyday 6 ◇
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うぱ(プロフ) - 設定とか言葉遣いとかとにかく全部が好きで一気見しちゃいました。特に不穏でこわこわなボスが大好き過ぎて何度もそこを読み返してます。臨場感が凄くて読んでいる時凄くドキドキしました。これからもこりんさんの作品を楽しみにしております。 (12月20日 23時) (
レス) @page14 id: ea61eec359 (このIDを非表示/違反報告)
こりん(プロフ) - ガガさん» コメントありがとうございます。そのように仰って頂けてとても嬉しいです！ありがとうございます！こちらこそ、作品を読んで頂き誠にありがとうございます。更新頑張って参ります！ (11月10日 19時) (レス) id: 56f635f916 (このIDを非表示/違反報告)
ガガ - とっっても面白いですわくわくして読んでます、続きが本当に楽しみです！！更新を楽しみにお仕事頑張れそうです、素敵なお話ありがとうございます🙏 (11月6日 13時) (レス) @page30 id: cfa21872f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こりん
| 作成日時：2023年10月29日 17時
