◆ No one matters but you 11 ◆ ページ29
「Aの様子はどう？」
「しっかりとご飯を食べて下の階の寝室でぐっすり眠ってます。会う際はお風呂はいってくださいね。血濡れでいるとAさん、びっくりしちゃいますから。…ボスの言う通り、アルスさんの診断書をAさんの会社に送りました。1ヶ月は最低でも自宅療養となります。…警察の方にもご協力頂いたので会社も強く言えないはず」
「まじで助かります。ありがとう」
帰宅しただるまを最初に迎えたのは凛月であり、そのまま入れ違いで部屋を出る。何とも気を使える構成員だな…と考えつつ、身体に着いた血を落とす為に風呂場へ直行した。
身体にこびり付いていた鉄臭いは清潔感漂う石鹸の匂いへと代わり、あっという間にシャワーを済ます。身体を拭き、ドライヤーで髪を乾かすと急いで用意されていた黒シャツとズボンに着替え、寝室で眠っているであろうAの元へ。
「ボス…？」
白藍色の丸っこい瞳を眠たげに落とすアルスはAの眠るベットの傍で顔を伏せており、足音に気付いたのか顔を上げた。
眠っているAへの気遣いで最小限に抑えられた声で呼ぶと、足音を消しながらだるまも傍へ近付く。
「容態はどう？」
「怪我自体は痕無く治りそう。でも、襲われた時のショックはどうだろう…。本人は明るく振舞ってるけど、逆に心配で…」
「そっか…忙しかっただろうにこんな時間まで傍に居てくれてありがとう、アルスさん。もう上がって、寝ておいで」
「ありがとー…ございまーす………すぅ…」
目許を指で擦り、椅子から立ち上がって階段を上がっていくアルス。かなり寝不足なのか、リビングのソファを見つけるなり、身体を倒して小さな寝息を立て始めた。
怪我なくアルスがソファに辿り着いたのを見送るとベットの端に腰掛け、すうすうと寝息を立てるAの頬に触れる。
「ほんと、ごめんな…」
自分がしっかりと守っていれば、Aに怖い思いをさせず怪我させずに済んだ。
今回の事件は銃声と通報に駆けつけた警官を金で黙らせて、大事にはしていない。有能な警察署長や刑事に出会ったら面倒になりそうだが痕跡は全て消したのでバレる事はないだろう。
Aはただ、元彼に金目当てで襲われたと思っているだろうが話は簡単に終わらせてくれない。
裏に誰かがいる以上、彼女の傍にいて、守らなければ。
「…きったな、俺も」
それで、Aと居られるなら。
口が裂けても言えない下心が胸中に疼く恋心を蝕んだ。
◇ A poor night ◇→←◆ No one matters but you 10 ◆
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うぱ(プロフ) - 設定とか言葉遣いとかとにかく全部が好きで一気見しちゃいました。特に不穏でこわこわなボスが大好き過ぎて何度もそこを読み返してます。臨場感が凄くて読んでいる時凄くドキドキしました。これからもこりんさんの作品を楽しみにしております。 (12月20日 23時) (
レス) @page14 id: ea61eec359 (このIDを非表示/違反報告)
こりん(プロフ) - ガガさん» コメントありがとうございます。そのように仰って頂けてとても嬉しいです！ありがとうございます！こちらこそ、作品を読んで頂き誠にありがとうございます。更新頑張って参ります！ (11月10日 19時) (レス) id: 56f635f916 (このIDを非表示/違反報告)
ガガ - とっっても面白いですわくわくして読んでます、続きが本当に楽しみです！！更新を楽しみにお仕事頑張れそうです、素敵なお話ありがとうございます🙏 (11月6日 13時) (レス) @page30 id: cfa21872f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こりん
| 作成日時：2023年10月29日 17時
