◆ No one matters but you 4 ◆ ページ22
｢じゃあそろそろ私は帰るね。これ、お菓子なんだけど良かったら皆で分けて。2人とも、お仕事頑張ってね｣
｢おう。助かるわ〜ありがとう。｣
｢じゃーね！｣
自分用に購入した大袋のお菓子を渡し、エコバックの容量に余裕が出来た状態で病院前を後にする。
夕刻となる空を眺めつつ、先程とろろさんに聞かれた言葉を思い出した。
『だるまさんの告白、なんで受けないんですか？』
第三者視点なら必ず浮かべる疑問でこれまでも色んな人に聞かれた質問だ。
濁した理由を述べているとらっだぁがフォローを入れてくれたお陰でとろろさんは疑問符を浮かべながらもそれ以上を聞かなかった。
｢受けちゃ駄目なんだよ｣
なんて零しているとだるまさんから貰った専用スマホが鞄の中でブルブル震える。取り出し、ロック画面を見れば『家着いた？』とメッセージが来ていた。
マメな人だなと思いつつ、ロック画面を解いて返信しようと思ったその時、胸奥が妙なざわめきを起こした。
背中にこびり付く粘着質な視線。
バクバクと打ち付ける鼓動が体内で暴れ出す。
誰かに見られているような、付けられているような感覚に身体が震えた。
早くその場から逃げたくて、マンションのオートロックを解除しエレベーターへ駆け込む。閉のボタンを連打して、早く閉じろと念じている合間にも呑気に扉はゆっくりと閉じていく。
ガァンッと乱暴にエレベーターの扉を引き上げようとする手が見え、後退る。緊急と判断したエレベーターの扉がゆっくりと開いていき、無理やりに乗ろうとした人物が入ってきた。
｢やっと見つけた｣
｢…は？｣
顔も声も見たくない、一生の悪夢を背負わせた元彼である男が立っていた。男は私を見るなり猫撫で声で、心底気持ちの悪い笑みを浮かべて、私の両肩を掴んでくる。
｢触んないで！」
触れられた瞬間鳥肌がぶわっと粟立ち、底知れない嫌悪が込み上げてくる。遠慮無しに肩へ触れる手を払えば、男の顔は段々と歪んでいく。
視界に見えた顔面を殴ろうとする拳を紙一重で躱し、未だ1階で停まっているエレベーターからエントランスへ逃げ出す。
｢あっ…！ぐッ……！！｣
だが、手に持っていただるまさんから渡されたスマホを落としてしまい、足を一瞬だけ止めてしまった。その間にも迫っていた男の蹴りが腹部に命中し、身体が転がっていく。
パキッと鈍い音が響き、くらくらとする視界の中。
だるまさんから渡された専用スマホが靴底で割られていた。
◆ No one matters but you 5 ◆→←◆ No one matters but you 3 ◆
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1025人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うぱ(プロフ) - 設定とか言葉遣いとかとにかく全部が好きで一気見しちゃいました。特に不穏でこわこわなボスが大好き過ぎて何度もそこを読み返してます。臨場感が凄くて読んでいる時凄くドキドキしました。これからもこりんさんの作品を楽しみにしております。 (12月20日 23時) (
レス) @page14 id: ea61eec359 (このIDを非表示/違反報告)
こりん(プロフ) - ガガさん» コメントありがとうございます。そのように仰って頂けてとても嬉しいです！ありがとうございます！こちらこそ、作品を読んで頂き誠にありがとうございます。更新頑張って参ります！ (11月10日 19時) (レス) id: 56f635f916 (このIDを非表示/違反報告)
ガガ - とっっても面白いですわくわくして読んでます、続きが本当に楽しみです！！更新を楽しみにお仕事頑張れそうです、素敵なお話ありがとうございます🙏 (11月6日 13時) (レス) @page30 id: cfa21872f6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こりん
| 作成日時：2023年10月29日 17時
