麦わら帽子に夢を見る【ONE PIECE】 (ページ2)

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episode 2 ページ2

「ちょっとルフィ！！！！！」

ル「んぁっ！？なんだ！？」

バン！！と男部屋の扉を開けて、私はルフィを叩きこす。

他の人がまだ寝ていることすら忘れて、私は半泣き状態でルフィを揺さぶった。

「コレ！！私のお気に入りのTシャツ！！昨日甲板に干してたやつ破ったでしょ！？」

ウ「…んおいおい…こんな朝っぱらから何叫んでんだよ…」

ゾ「ガァー！！」

ウソップがのそのそと起き上がる。

ゾロは、いびきをかいて寝たまんま。

ル「んんー？？……っは！！あの時のか！！」

ルフィは一度首をかしげて破れたTシャツを見つめた後、ぽん、と手を叩いた。

やっぱり…昨日の夜、甲板で1人で釣りして遊んでたの見たもん。

嫌な予感したけど、まさか朝起きて取りに行ったら破れてるなんて…。

「コレ…海軍にいた時から愛用してたのに…」

ル「まぁ、新しいの買えばいーじゃねぇか！」

「うるさい！もうこのTシャツは買えないんだから！」

ゴン！とルフィの頭を殴る。

ル「す、すびばせん……」

海軍にいた時、というのも、もう2年ほど前の話。

その時私は海軍少将だった。

でも、どうしても海軍のやり方が気に食わなかったの。

悪いことをしてるわけじゃない海賊を捕まえて、牢屋に入れて、いかにも「正しいことしてます」って顔してる海軍。

それがどうにも、私の性に合わなかった。

私の〝正義〟は、この殺伐とした世の中で、1人でも多くの笑顔を守ること。

海軍に入れば、それが出来ると思っていたけど…

海軍の中で、この信念を貫くことが困難だと感じた私。

海軍を勢いで辞めたあと、何度か海で会ったルフィに勧誘された。

ルフィが、「仲間になれよ」って言ってくれて、二つ返事で了承したのが2年前。

今は、麦わらの一味としてすっかり馴染んでしまっている。

私は海軍時代に着ていた〝正義〟の文字が刻まれたジャケットを着たまま、海賊として戦う。

私は、私の正義を貫いた結果だから。

このジャケットは、死んでも脱いでやらない。

サ「おーい！オメーら飯だぞ！！……ってAちゃんっ！！どうしたのむさ苦しい男部屋なんか来て！！」

「……ルフィにTシャツ破られた」

サ「アァ！？ルフィてめぇ…Aちゃんになんてことしやがんだ！！」

さっき私から殴られ、サンジくんから蹴られるルフィ。

それを見て、笑う船員。

これが、この船の日常だ。