麦わら帽子に夢を見る【ONE PIECE】 (ページ3)

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episode 3 ページ3

ル「A～」

ル「なぁなぁ」

ル「ほら見ろ！！ゾロの真似」

朝ごはんを食べたあと、甲板で本を読む私の周りを、ウロチョロするルフィ。

あぁもう、本に集中できない…！

「…っもう！なんなの！？」

今、せっかく春の気候帯に入ったしゆっくり本読みたいのに！

まるで私のご機嫌取りかのように、ウロウロするルフィ。

ル「だってよ～…A怒ってるんじゃねぇかと思ってよ」

そう言って、私から目を逸らしたルフィ。

その姿を見て、私ははぁ、と1つため息を吐いた。

そりゃ、怒らないわけがない。

だってもう2年以上前のTシャツは手に入らないからね。

しかも、下の方をちょびっと破ったくらいなら私もまだ許せたかもしれないけど、今回のTシャツは胸の辺りから大きく破れていた。

もう直しようがないし、直したところで以前より少し縮んでしまうだろう。

「……怒ってるよ」

それに…

「…〝また新しいの買えば〟って言われたことにも怒ってる」

てゆうか、ルフィは覚えてないだろうけど…

私があのTシャツを気に入っていたのには、理由がある。

ル「ごめんって、肉やるからさーぁ！」

「お肉はいらない」

あのTシャツ、私が船に来て初めて着た時に、ルフィが「似合ってる」って言ってくれたTシャツなんだもん。

真っ赤な色でさ、「俺の色だな」って笑ってくれたの。

海軍から海賊になって、もちろん不安もあった。

一味のみんなに受け入れてもらえるのかとか、

今までの生活を捨てる覚悟とか。

海軍の強さも知ってるからこそ、海軍から追われる怖さも誰よりもわかっていたし。

不安で不安で仕方なくて、甲板で海を眺めていた時、ルフィが言ってくれたんだよね。

お揃いだ、って、ニカッて笑ってくれて、すごく安心したの。

ル「ウググ…仕方ねぇ、俺の服1枚やるよ」

「それもいらない…サイズ合わないし…。」

ルフィがうーん、うーんとなんとか私に許してもらおうと頭をかしげる姿を見て、はぁ、と私はもう一度ため息をついた。

本当に反省してるのは伝わった。

…まぁまたやるだろうけど。

でも、それならさ

「…次の島で、また選んでよ」

ル「許してくれんのか！！？」

目をキラキラと輝かせたルフィ。

…この目に、私は弱い。

「似合うやつ選んでよね？」

ル「あぁ！任せとけ！」

そう言って、ルフィはまたニカッと笑う。

この笑顔が、私は好きで好きで仕方ないんだ。