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思い出し笑いではない、けど。
そっと頬を自分で触ってみる。ちょっと恥ずかしい。
…あのひとのことを考えて知らず知らず笑ってただなんて。
『や、私そんなにニヤニヤしてた？』
「ニヤニヤってかニコニコ。楽しいこと考えてたのかなって」
ふわっと微笑みながらそう話す大昇。
大昇は昔から優しくて天真爛漫で周りのみんなに好かれてる。人に愛される才能みたいなものがある。
昔は一生懸命描いたピカチュウの絵を褒めてくれたし、今も私のチョコを褒めてくれるいい幼馴染だ。変わらないんだ。
お風呂で歌うのが好きみたいで、大昇の入浴時間と私の帰宅時間が被ると大昇のバスルームの換気口から「川の流れのように」が漏れ聞こえてくる。昔から。
めちゃくちゃ上手いその歌声は、聴いてるとバックに雄大な自然が見える気がする。
大袈裟じゃないのに響いてくる、そういうこころを揺らす歌い方をする。
それも人に愛される才能なのかもしれない。
『…大昇さ、お風呂の時「川の流れのように」歌ってるでしょ？お母さんが今度ジャニーズの曲も歌わないかなって言ってたよ』
「えっそうなの？てかそんなに音漏れしてる?!」
『うん、昔から。でもお母さん大昇のファンだから楽しみにしてるよ』
え、うわー恥ずかしいな、なんてぶつぶつしながらも嬉しそう。どこか不思議ちゃんなのも変わらない。
すると、2階からバタバタと足音をさせて弟の龍我が降りてきた。
今日も無駄に脚が長い。階段の下から仰ぎ見る龍我はまさに脚脚脚の脚人間だ。悔しいけどここは全然似ていない。
「わー！やっぱり大昇くんだ！いらっしゃい！」
「龍我久しぶり、なんかまたでかくなった？」
「へへっまあね！179cm…
あー！チョコ出来たの?!俺も食べたいー！勉強してたけどいい匂いするからめちゃくちゃ誘惑されてた！」
ソファに並んで座ってニコニコしている。
このふたりが一緒だと平和な空気が流れる気がする、昔から。
『よくチョコ作ってるって分かったね？』
「だってあまーい匂いだし、ほら来週バレンタインでしょ？だからそうなのかなって」
『あはは、当たり』
弟に図星をさされて苦笑する。どこかくすぐったい。特別な意味なんてないのになんでかな。
すると平和の象徴だと思っていた龍我から、まさかの爆弾が落とされた。
ただでさえ長いまつげで濡れたように見える目を、更にキラキラ輝かせながら。
ものすごく嬉しそうに。
「お姉ちゃん、井上くんに渡すんでしょ？」
3→←1 【Happy valentine for 8181】
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冷麦(プロフ) - みちゃこさん» みちゃこさん、コメントありがとうございます。好きと言ってくださって嬉しいです！感謝です！ (2020年3月16日 15時) (
レス) id: 5b6161b271 (このIDを非表示/違反報告)
みちゃこ(プロフ) - このお話大好きです。これからも更新頑張って下さい！ (2020年3月16日 0時) (レス) id: b50848dd48 (このIDを非表示/違反報告)
冷麦(プロフ) - おかゆちゃんさん» おかゆちゃんさん、コメントありがとうございます！きゅんきゅんしてくださって、素敵な感想を寄せてくださって、本当に嬉しいです…！励みになります！ (2020年2月23日 0時) (レス) id: 5b6161b271 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆちゃん(プロフ) - こんなにきゅんきゅんするお話に出会えて感動してます（ ; ; ）登場人物全員かわいすぎる…！本当に評価が一度しか出来ないのが悔やまれます(>_<)これからも素敵なお話楽しみにしてます！ (2020年2月23日 0時) (レス) id: a7174925fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冷麦
| 作成日時：2020年2月8日 17時
