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事情聴取を済ませてすぐに、私はあるところへ向かった。


お線香の匂いがまだ色濃く残っている。
きっと、私が来る直前まで誰かがここにいたのだろう。

彼の名前が刻まれた墓石に手を置く。
目を閉じて耳をすませば、どこかから彼の声が聞こえるような気がした。


事情聴取の時に、彼のお墓詣りがしたいと申し出たらあっさり教えてくれた。
1日で墓石が出来上がるなんて、正直彼の死が仕組まれたもののような気がしなくもなかったが。

でも、またいつ日本に来れるか分からなかったから。
どうせなら、彼にちゃんと"返事"をしてから帰りたかった。



「...煙草、吸いながら作業してたの?」



線香の横に置いてあった煙草の箱をしゃがみながら手に取る。
彼が警察学校時代から吸っていた銘柄だ。

確か、"酒と煙草と女には一途"とか言ってたっけ。



「ゴンドラの中は禁煙だよ...陣平さん」



彼のことだ、今日ぐらい勘弁してくれとか何とか思ってただろうな。

でも、ヘビースモーカーで何が悪いだ何だと言いつつも。
私の前では控えてくれてたの、知ってるよ。



「ねえ...本当に死んじゃったの?......嘘って言ってよ」



信じないよ、私。
信じたくないんだもん...あなたが死んだなんて。

だって酷いじゃない......自分だけ一方的に告ってきて。
私は永遠に待ちぼうけを食らわされるの?



「せめて私の返事聞いてから行きなさいよ、バカ...」



だって私は...私は...!




「......初めて会った時から、好きだったよ」



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"おい、そこにいるとむさ苦しい男集団の餌食になるぞ"

"へー、白崎の妹ねぇ..."

"お前、機械いじるのとかも好きか?"

"今度の週末、忙しいお前の兄ちゃんに代わって俺が遊園地連れてってやるよ"



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"俺、好きだったぜ。お前のこと"



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「......っ、」



呼び起せば溢れ出てくる、心温まる思い出たち。
唯一、普通の女の子として生活できていた数年間。

どのページをめくっても、必ずどこかに彼がいた。


1ページ1ページ、思い出しながらアルバムを捲るように。
私はしばらくの間、彼のお墓の前でずっと動けずにいた。



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あーさ(プロフ) - とても深いグリーンさん» ご愛読ありがとうございます!r18タグに関しましては目次のページを御覧下さい♪ (2018年4月19日 1時) (レス) id: 40de11ab60 (このIDを非表示/違反報告)
とても深いグリーン(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます(о´∀`о)ところで話は変わるんですが、どうしてR-18になってるんですか? (2018年4月18日 23時) (レス) id: 629a69f0d0 (このIDを非表示/違反報告)
あーさ(プロフ) - 佰さん» なんと嬉しいお言葉...(T^T)書きたいときに書く気分屋野郎ですが、よろしくお願いします! (2018年3月1日 17時) (レス) id: 611fb27d39 (このIDを非表示/違反報告)
- すごくいい話ですね!もう感動しました。続き楽しみにしています!これからも更新頑張ってください! (2018年2月27日 21時) (レス) id: e1e57bb127 (このIDを非表示/違反報告)
あーさ(プロフ) - 那月さん» はじめまして(^^) な、なんと...!貴重な情報提供をありがとうございます!間違ってなくてよかったです...とても安心しました(^◇^) (2017年10月1日 20時) (レス) id: 611fb27d39 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あーさ | 作者ホームページ:nothing  
作成日時:2017年10月1日 0時

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