第五十五話 ページ5
尾形side
「二千メートル先まで弾丸が届くってことだ。二千メートル以上俺から逃げ切れるか試してみるか？」
「有効射程は五百メートルと言われているが…うちの尾形は有能だからな。軽く千メートルは当てるさ」
「俺にどうしろって言うんだ!!」
「お前が樺戸監獄に潜入して熊岸長庵を脱獄させたように第七師団から白石を助け出せ」
「方法を考えろ！お前は詐欺師だろ」
近くのコタンで作戦を考える。
どういうつもりか先程俺を褒めたAは、今は黙って耳を傾けている。
「おい鈴川…協力しないなら俺がお前の皮を剥ぐ。この計画でドジを踏めばお前は第七師団に皮を剥がされる。お前が皮を剥がされずに済む道は計画を成功させるしかない」
「白石が旭川第七師団の兵営のどこにいるのか…中に潜入して探らなければなるまい」
「関係者に成りすますか？」
「カムイコタンでの一件で警戒しているはずだから、余程の関係者じゃない限り簡単に教えるはずがない」
「東京の師団の上級将校とかは？A少尉殿は東京出身だし誰か知ってる？」
皆がAに注目する。
だが少尉殿は黙ったまま…
「いや、寝てるな」
妙に静かだと思ったら座ったまま微動だにせず寝てやがる。
規則的な寝息が微かに聞こえる。
クソ、無駄に綺麗な寝顔してやがる。
見てるこっちがしんどいので、少尉殿の頭を肩にもたれ掛けさせる。
杉元がずるいと喚いているが、知ったことか。
先に俺の隣りを選んで座ったのは少尉殿だぞ。
「犬童四郎助はどうだろうか」
「犬童？網走監獄の典獄？」
「似てるのか？」
「似てない」
「俺も犬童を知ってるがね、顔の骨格は近い気がする。誰か実在の人物に成りすますってのは、その人物と似ていない部分を減らすってことだ」
そう言って鈴川は髪をきり、眉毛を変え、表情を作り上げた。
翌朝、俺達は旭川で下調べをしていた。
旭川は帝政ロシアの南下政策に対して防衛整備が急務とされ、第七師団の駐屯と鉄道の敷設により当時の函館・小樽・札幌に次ぐ道北の中心地となっていた
「少尉殿昨日はよく眠れましたか？人の肩を借りたんですから、当然快眠だったことでしょう？」
「固くて寝心地が悪かった」
「随分と栄えているな。港町でもない北海道のど真ん中なのに」
「旭川の発展をもたらした『上川道路』札幌と旭川を結ぶ長い長い道路脇には夥しい死体を埋まっている。ヒグマと狼に怯えながら寒さと飢えに苦しみ死んで行った囚人達だ」
続く
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プスメラウィッチ(プロフ) - 続きの更新頑張って下さいね😆応援しています。 (2月14日 11時) (
レス) @page5 id: b10205217f (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は尾形百之助オチですか？できれば尾形百之助オチでお願い出来ますか？後、尾形百之助は死なないで欲しいです。尾形百之助と夢主ちゃんを幸せに欲しいです。お願いします🙏 (2023年1月17日 20時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
メルテア(プロフ) - 何故こんなに低評価が押されているか俄にも信じ難いですがとても面白くここまで一気読みしてしまいました。素敵な作品ありがとうございます。 (2023年1月11日 15時) (レス) @page4 id: 3e70dcadbe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜彩 | 作成日時：2021年4月29日 23時
