第60話 ページ10
ハリーside
急いでドアを閉め、周りを見回す。
没収された箒の上に掛かった飾り皿の中で、小憎らしい子猫がふざけている他は、何一つ動くものはなかった。
マントを脱ぎ、暖炉に駆け寄る。
小さな箱に入った煙突飛行粉を大きく一掴みし、薪の上に落とす。
薪はたちまちボッと燃え、エメラルド色の炎が上がった。
「グリモールド・プレイス十二番地！」
これまで経験したことのない、奇妙な感覚だった。
もちろん飛行粉で移動したことはあるが、頭だけエメラルドの炎の中を飛んでいくのは初めてだ。
やがて唐突に回転が止まった。
少し気分が悪い。
どうやら厨房の暖炉の中だ。
木製の長いテーブルに男が腰掛け、一枚の羊皮紙をじっくり読んでいる。
「シリウス？」
男が飛び上がり、振り返った。
ルーピンだ。
「ハリー！どうした？何かあったのか？」
「ううん、ただ、僕できたら…シリウスと話したくて」
「呼んでくる」
ルーピンが急いで厨房を出ていく。
炎の中から話をするのがどんなに骨が折れることか、シリウスはどうして一度も言ってくれなかったんだろう。
膝はもう、硬い石の床に長い間触れていることに抗議していた。
まもなくルーピンがシリウスを連れて戻ってきた。
目にかかる長い黒髪を払いのけ、僕と同じ目の高さになりながら急き込んで聞いた。
「どうした？助けが必要なのか？」
「ううん。僕ちょっと話したくて…父さんのことで」
二人が驚愕したように顔を見合わせたが、恥ずかしいとか、きまりが悪いとか感じている暇はない。
陽動作戦のタイムリミットが迫っている。
すぐさま憂いの篩で見たことの話に入った。
「ハリー、そこで見たことだけで君の父さんを判断しないでほしい。まだ十五歳だったんだ」
「僕だって十五だ！」
「いいか、ハリー。ジェームズとスネイプは最初に目を合わせた瞬間からお互いに憎みあっていた。
ジェームズは、スネイプがなりたいと思ってるものを全て備えていた。
ところがスネイプは闇の魔術に首までどっぷり浸かった偏屈なやつだった。
それにジェームズは、どんなときも闇の魔術を憎んでいた」
「うん。でも父さんは、特に理由もないのにスネイプを攻撃した」
「いいかい、ハリー。君の父さんとシリウスは、何をやらせても学校中で一番よくできたということを、理解しておかないといけないよ。
本気になったAを除いてだけどね。
皆が二人は最高にかっこいいと思っていた」
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夜彩(プロフ) - atheneさん» ご指摘ありがとうございます。私自身もおかしいなとは感じていたので…また何か誤字、脱字等ございましたらお気軽にお知らせ下さい (2022年7月27日 13時) (
レス) id: bd39633a4b (このIDを非表示/違反報告)
athene(プロフ) - クィレル先生は「クウィレル」ではなく「クィレル」です。とても面白いので、いつも楽しみにしています！二人の関係の切なさがなんともいえません！ (2022年6月13日 0時) (レス) @page26 id: e8c4b441c6 (このIDを非表示/違反報告)
理音(プロフ) - 続き気になります！更新楽しみにしています！ (2022年3月30日 2時) (レス) id: d1bb6ccd48 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - お久しぶりです泣 楽しみに待ってました泣 (2021年12月23日 22時) (レス) @page12 id: b1e8907435 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜彩 | 作成日時：2021年8月4日 1時
