第81話 ページ31
セブルスside
「さっぱり分かりませんな。
ポッター、我輩に向かって訳の分からんことを喚き散らして欲しい時は、君に戯言薬を飲用してもらおう。
それから、クラッブ、少し手を緩めろ。ロングボトムが窒息死したら、散々面倒な書類を作らねばならんからな。しかもお前が求職する時の紹介状に、そのことを書かねばならなくなるぞ」
我輩はピシャリとドアを閉めた。
ポッターの絶望したような表情が頭から離れない。
とりあえず、事実を確かめねば。
私室に戻ろうとした時、ちょうど医務室から出てきたAに出会った。
モンタギューのカウンセリングが終わったようだ。
あの夜より顔色が良い。
それもそのはず、耳から煙が出ているのを見るに、マダム・ポンフリーに無理矢理元気爆発薬を飲ませられたのだろう。
「ああ、セブルス」
薬のせいか、不自然なくらい元気に我輩に駆け寄る。
「モンタギューはもうほとんど良くなっているわ」
「君の手によるものなのだから当然だろう」
「嬉しいことを言ってくれるのね」
Aはその場でくるりと回る。
ローブの裾が膨らみ、彼女の周りを華麗に踊る。
空気に遊ばれた髪がふわりと舞い、瞳は無邪気に瞬く。
この世の何より美しい女が、我輩だけに向かって微笑みかけていた。
「でも君自身は何だか…忙しいみたいね？」
空気は一変し、幼子の様だった彼女は全てを魅了する妖婦のベールを纏う。
妖しく持ち上がった唇には真紅のルージュが似合うだろうし、艶めかしい目元を彩るには暗めのアイシャドウの他にない。
思わず数歩後ずさる。
「当たり前だ。我々にはまだ仕事が残っているのでね」
「その割には行き先は職員室ではないようだけど？」
じわり、と背中に嫌な汗をかく。
見透かされている、そんな錯覚さえ覚える。
服を通して臓腑の中まで観察されているような、隠し通せるものなど何も無いと言われているような。
呼吸一つ支配されている気がする。
闇の帝王の前ですら心を隠し、自由に動き回る舌が、呪いをかけられたかのように動かない。
この場を支配しているのは、間違いなくA・Aその人だ。
彼女はそんな我輩を見てふっと笑う。
それだけで貼り詰められていた空気が和らぐ。
「やぁね、虐めたい訳じゃないのよ？」
その一言で確信する。
彼女は今何が起きているのか知っているのだ。
「クィレルは何処だ？」
問いかけた言葉に、Aは一度、瞬きをした。
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夜彩(プロフ) - atheneさん» ご指摘ありがとうございます。私自身もおかしいなとは感じていたので…また何か誤字、脱字等ございましたらお気軽にお知らせ下さい (2022年7月27日 13時) (
レス) id: bd39633a4b (このIDを非表示/違反報告)
athene(プロフ) - クィレル先生は「クウィレル」ではなく「クィレル」です。とても面白いので、いつも楽しみにしています！二人の関係の切なさがなんともいえません！ (2022年6月13日 0時) (レス) @page26 id: e8c4b441c6 (このIDを非表示/違反報告)
理音(プロフ) - 続き気になります！更新楽しみにしています！ (2022年3月30日 2時) (レス) id: d1bb6ccd48 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - お久しぶりです泣 楽しみに待ってました泣 (2021年12月23日 22時) (レス) @page12 id: b1e8907435 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜彩 | 作成日時：2021年8月4日 1時
