第72話 ページ22
貴女side
「ご無事ですか、校長」
「ああ、スネイプ先生。今、この化け物が私に、よりにもよって磔の呪文を、」
「校長、お疲れでしょう。今夜はもうゆっくりお休みになられると宜しい」
猫なで声を出したセブルスの手から私の杖が消えた。
今や杖は私の手の内に。
再び呪文をかけようとした私の腕をセブルスが強く掴んだ。
───
セブルスside
細腕を力一杯握る。
「二度も庇ってはやれんのだぞ！」
そのまま引き寄せて耳元で囁くが、何の反応もない。
代わりに漏れるのはシューシューという音だけ。
どう見ても尋常ではないAの腕を掴んだまま、何とかアンブリッジを帰らせると、そのままAを我輩の研究室に連れていく。
生徒が何事かと集まってくるが、我輩が近づくとサッと避けるように人混みが割れる。
誰も入ってこれぬように鍵をかけ、更には防音呪文まで施した。
「落ち着いたか、A」
ソファに腰掛けるAからは、もうあの音はしなかった。
彼女が我輩の研究室に来るのはしばらくぶりだというのに、驚くほど景色に馴染んだ。
無くしたピースがはまったような、そんな安心感がある。
久しぶりにまじまじと見たAの顔は、酷いものだった。
目の下のクマは驚くほどに濃く、血の気のない顔は紙のように白い。
もとから色白で、唇と頬が唯一の赤みだったこともあり、それらを失った今、彼女はいよいよ幽霊のようだ。
「ミネルバは大丈夫かしら？どうしてクィレルはこんなに遅いの？」
爪を噛もうとする手をとり、茶菓子を握らせる。
咀嚼している間に紅茶をいれ、目の前に置く。
手が空いたら新しい茶菓子を与える。
それを何回か繰り返したあと、少し血色の良くなった彼女は立ち上がり、ご馳走様、と足早に出ていこうとする。
「待て。まだ何も話をしておらん」
「話すことなど何もないわ」
「ならばせめて今夜はここに居ろ。どうせ寝れないのなら何処に居ようと同じだろう」
「結構よ。直にクィレルも戻ってくるから」
「彼奴に何ができる？」
「君も何もできないでしょう」
「我輩は…ただ、お前のそばにいたいだけなんだ」
何事かを言いかけたAは、ノックの音で止まった。
クィレルだ。
「こんばんは、セブルス。いい夜ですね。そちらにAがいると思うのですが」
「お迎えありがとうクィレル。ではまた、おやすみなさいセブルス」
扉が、我輩とAを隔てた。
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夜彩(プロフ) - atheneさん» ご指摘ありがとうございます。私自身もおかしいなとは感じていたので…また何か誤字、脱字等ございましたらお気軽にお知らせ下さい (2022年7月27日 13時) (
レス) id: bd39633a4b (このIDを非表示/違反報告)
athene(プロフ) - クィレル先生は「クウィレル」ではなく「クィレル」です。とても面白いので、いつも楽しみにしています！二人の関係の切なさがなんともいえません！ (2022年6月13日 0時) (レス) @page26 id: e8c4b441c6 (このIDを非表示/違反報告)
理音(プロフ) - 続き気になります！更新楽しみにしています！ (2022年3月30日 2時) (レス) id: d1bb6ccd48 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - お久しぶりです泣 楽しみに待ってました泣 (2021年12月23日 22時) (レス) @page12 id: b1e8907435 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜彩 | 作成日時：2021年8月4日 1時
