第53話 ページ3
ハリーside
僕は何とかして、スネイプがジェームズの手で苦しめられるのが当然だという理屈をつけようとした。
しかし、いくら考えてもジェームズが悪いという結論が出るばかり。
ほぼ五年間、父親を想う気持ちが慰めと励ましの源になっていた。
誰かにジェームズに似ていると言われる度に、誇らしい気持ちになれた。
ところが今はどうだ。
惨めな気持ちになるどころか、ジェームズが無理やりリリーと結婚に持ち込んだのではないかとさえ思っていた。
イースター休暇中に、風は爽やかになり、だんだん明るく、温かくなってきた。
しかしハリーは、他の五年生や七年生と同じに屋内に閉じ込められ、勉強ばかりで、図書室との間を重い足取りで往復していた。
ハリーは、自分の不機嫌さは試験が近づいているせいに過ぎないと見せかけていた。
他のグリフィンドール生も勉強でくさくさしていたせいで、誰もハリーの言い訳を疑わなかった。
「ハリー、貴方に話しかけてるのよ、聞こえる？」
僕が独りで座っていた図書室のテーブルに、散々風に吹かれた格好のジニー・ウィーズリーが来ていた。
今は日曜日の夜遅い時間で、ハーマイオニーは古代ルーン文字の復習をしにグリフィンドール塔に戻り、ロンはクィディッチの練習に行っていた。
「やあ。君、練習はどうしたんだい？」
「終わったわ。ロンはジャック・スローパーに付き添って医務室に行かなきゃならなくて…
多分、自分の棍棒で自分をノックアウトしたんだわ。
それはそれとして、たった今小包が届いたの。アンブリッジの新しい検閲を通ってきたばかりよ。貴方の分も一つ」
ジニーは茶色の紙で包まれた箱をテーブルに上げた。
ロンのお母さんからのイースターエッグだ。
卵には、小さなスニッチの砂糖飾りがいくつもついていた。
包み紙には、チョコの中にはフィフィ・フィズビー一袋入り、と表示してある。
暫くチョコを眺めていると、喉の奥から熱いものが込み上げてくるのを感じて狼狽した。
「大丈夫ハリー？この頃とっても滅入ってるみたいね。とにかく、チョウと話せばきっと…」
「僕が話したいのはチョウじゃない。僕…シリウスと話せたらいいんだけど…でも、出来ないことは分かってる」
「そうね。本気でシリウスと話したいのなら、きっと何かやり方を考えられると思うわよ」
「まさか。アンブリッジが暖炉を見張ってるし、手紙を全部読んでるのに？」
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夜彩(プロフ) - atheneさん» ご指摘ありがとうございます。私自身もおかしいなとは感じていたので…また何か誤字、脱字等ございましたらお気軽にお知らせ下さい (2022年7月27日 13時) (
レス) id: bd39633a4b (このIDを非表示/違反報告)
athene(プロフ) - クィレル先生は「クウィレル」ではなく「クィレル」です。とても面白いので、いつも楽しみにしています！二人の関係の切なさがなんともいえません！ (2022年6月13日 0時) (レス) @page26 id: e8c4b441c6 (このIDを非表示/違反報告)
理音(プロフ) - 続き気になります！更新楽しみにしています！ (2022年3月30日 2時) (レス) id: d1bb6ccd48 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - お久しぶりです泣 楽しみに待ってました泣 (2021年12月23日 22時) (レス) @page12 id: b1e8907435 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜彩 | 作成日時：2021年8月4日 1時
