第63話 ページ13
貴女side
フレッドとジョージの自由への逃走は、それから数日間、何度も繰り返し語られた。
この話がホグワーツの伝説になることはきっと間違いない。
二人が去った余波で、生徒達には双子に続けという大きなうねりが起こっていた。
その上、二人は誰もそう簡単に双子を忘れられないようにして出ていった。
例えば、東棟の六階の廊下に広がる沼地。
先生方はアンブリッジとフィルチが沼地を消そうと躍起になっているのを楽しんでいた。
結局、沼地は消せず、フィルチが渡し舟で生徒を教室まで運ぶ仕事をさせられた。
アンブリッジの部屋には箒の形の大穴が二つ空いていたし、大勢の生徒が空席になった悪ガキ大将の座を目指して競い始めた。
他にも、アンブリッジの授業で体調を崩す生徒が多発した。
「楽しそうですね、A」
夜、鼻歌を歌う私を見て、クィレルは言った。
「誰だって夜の散歩は心が踊るでしょう？」
土の湿った、密やかな香りがする。
鬱蒼とした緑の暗がりは、あらゆる秘密を隠すにはうってつけの場所だ。
突き出している木の根を避け、低く垂れ下がった枝を押し退けた。
小道はますます深い茂みに覆われ、森の奥へと入れば入るほど、木立はびっしりと立ち並んで、暗さが増した。
歩道を逸れ、木々の間を縫うように森の中心部へ。
茨の絡まりあった茂みを通り向け、奥深くへと進んでいく。
木の枝やら刺々しい茂みやらで、魔法を使って道を作らなければ、たちまち手足は傷だらけになっただろう。
これから向かう場所を回避しているのか、何の生き物にも遭遇しない。
寧ろ好都合ではあるが。
フィレンツェがホグワーツで働くことについて一悶着あったことは間違いない。
殺気立ったケンタウルスに絡まれるのは避けたい。
どれほど進んだだろうか。
漸くクィレルが立ち止まった。
「これがそうか」
杖に灯りを点すと、森の様子が良く見えた。
ぐるりと一帯に木が根こそぎ引き抜かれ、垣根かバリケードのように木の幹や太い枝が積んである。
その中心には大きくて滑らかな塊…基、巨人だ。
「小さいな。子供か？」
せいぜい五、六メートルしかない。
若木ほどの太い縄が、近くの一番大きな数本の木に括り付けられている。
ハグリッドも苦労をしているようだな。
「これが先日お伝えした巨人です。ハグリッドがどういうつもりで連れて来たのか定かではありませんが、お耳に入れておくべきだと思いまして」
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夜彩(プロフ) - atheneさん» ご指摘ありがとうございます。私自身もおかしいなとは感じていたので…また何か誤字、脱字等ございましたらお気軽にお知らせ下さい (2022年7月27日 13時) (
レス) id: bd39633a4b (このIDを非表示/違反報告)
athene(プロフ) - クィレル先生は「クウィレル」ではなく「クィレル」です。とても面白いので、いつも楽しみにしています！二人の関係の切なさがなんともいえません！ (2022年6月13日 0時) (レス) @page26 id: e8c4b441c6 (このIDを非表示/違反報告)
理音(プロフ) - 続き気になります！更新楽しみにしています！ (2022年3月30日 2時) (レス) id: d1bb6ccd48 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - お久しぶりです泣 楽しみに待ってました泣 (2021年12月23日 22時) (レス) @page12 id: b1e8907435 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜彩 | 作成日時：2021年8月4日 1時
