私の血は汚い。

11話 ページ13

シバとの結婚が決まり今日はとても憂鬱な気分。


そんな夜も、毎日欠かさずあいつはやって来る。



「……お邪魔します」



今俺が一番会いたくない相手、シバが来てしまった。




「お前、何か聞いたりしたか？」


「いえ……何も」


不思議そうに首をかしげるシバ。


俺と結婚すると言ったら、彼女は悲しむだろうか、それとも喜ぶだろうか。





「……俺たち、近いうちに結婚するんだってよ」


「え……、結婚……？」


彼女が見せた顔は困惑だった。


なんども瞬きをして、目を動かせている。



「嫌だよな、いきなり結婚とか」


「別に、嫌とかじゃ……」


「でもな」



親父の汚い政略のための結婚。


罪人の悪魔との結婚。


子供を作るためだけの結婚。






「俺のほうが何倍も嫌なんだよ」




ああ、だめだ。


こんなことを言うつもりは無かったのに。



俺は先刻の自分の発言を後悔した。




「……ごめんなさい」



きっといろんな意味の「ごめんなさい」だったのだと思う。


とても苦しそうな顔だった。



「俺も……言い過ぎた」




沈黙が続く。


結婚したらこんなことが毎日続くと思うと気が滅入る。


そんなことを考えながら俺は遠くを見つめた。

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