___45話___ ページ13
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目が覚めてから、指紋認証のボタンを触って開けてしまったこと、勝手に部屋の外を覗いたことを謝った。体は安静にすればすぐ治るみたいで、もう勝手な真似はしない事を心の中で誓った。
神威「あのボタン、何万通りもあるのによく当てられたね。奇跡なのか不運なのか」
「そうなんですか?一生分の何かを使い果たしてしまった気がします…」
途中で意識が飛んで覚えてないけど、あの男の人はやっぱり殺したのかな。でも、私の為に怒ってくれて 嬉しかった。
私が傷付いた事をあんなに感情的になってくれる人なんて居なかったから。
「あれ?指紋認証がなくなってる」
神威「そうそう。外側のは付けてるけど、内側のとAの部屋のは外したよ」
てっきり今回のことがあって、もっと頑丈に鍵をかけられると思ってたから、何か、変な違和感があった。
閉じ込めておくほどの価値が私に無くなったのかもしれない。って…こんなので不安なの おかしいよね。きっと信頼してくれてるだけなのに。
神威「Aを見てるとさ、俺もちゃんと向き合わなきゃって思うよ」
「向き合う…?」
神威「うん、今まで逃げてきたものと」
…神威さんはまた、そうやって強くなって、私から遠くなるんだ。触れられる距離なのに、その真っ直ぐな目を見てると 私とはほど遠い存在に感じる。
そんな明るい場所に行かないで。もっと私を手放し難く思って、もっとがんじがらめに閉じ込めて愛して欲しい。私と一緒に 堕ちてくれたらいいのに。
神威「どうしたの」
「どこにも 行かないでください」
私は今 最低なことを考えてる。
神威さんの邪魔をしてまで傍に繋ぎ止めようと。ホントの私はこんなに我儘で、自分のことで精一杯な自分本位。これが"人間らしさ"というものなら、吐き気がするほど嫌いなものなのに。
神威「A…俺」
「嫌だ、聞きたくありません」
何か怖いことを言われてしまう気がした。
耳を塞いで首を横に振ると、困ったように微笑まれる。そうしてるうちに呼出音のようなものが部屋に響き、軽く唇を重ねてから神威さんが立ち上がった。
神威「そろそろ仕事に出なきゃ。今日は安静にしてるんだよ」
それでもまだ握った手を離さないでいると「すぐ帰るから」と、今度は深く口付けられ、名残惜しく唇と手を離した。
神威「行ってきます」
その笑顔を見ても、今日は妙な胸騒ぎが消えないでいた。
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さな(プロフ) - アキさん» わああ(;_;)作品と曲まで重ねて見てくださって、思い出して貰えるほど心の中に置いてもらえてとても嬉しいです(><)♥️ (2022年6月8日 23時) (レス) id: c74a2aa4bf (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - さなさん» 誰かの心臓になれたならとか聞くたびにこの作品思い出すようになってしまって毎回涙でてきます^_^ (2022年6月8日 8時) (レス) id: 011262e667 (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - アキさん» アキさんコメントありがとうございます(*´▽`*)何かアキさんと夢主が重なる部分があったんですね(>_<)沢山褒めて下さって嬉しいです…!ありがとうございます^^* (2022年6月8日 0時) (レス) id: c74a2aa4bf (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - うわーーーもう好みすぎるお話です😭夢主を自己投影してしまって余計読んでて感動しました笑素敵な作品でした! (2022年5月21日 15時) (レス) @page24 id: 011262e667 (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - りおさん» はじめまして!コメントありがとうございます(><)・:*+.少し実話も入ったお話だったのでそう感じてもらえて嬉しいです…!とても嬉しいお言葉ほんとにありがとうございます(T^T)これからも感想いただけるような面白いお話しかけたらと思います((´∀`*)) (2021年7月22日 1時) (レス) id: a286bee94d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さな | 作成日時:2019年12月8日 11時