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___4話___ ページ4










目を開けるとぼんやりして、何処かの天井が見えた途端 状況を一瞬で飲み込み、そして絶望する。

失敗したんだ…

生きることも死ぬことも出来ない自分に落胆して、ほんとに泣けてくる。



「…あれ」



涙を拭った手が全く痛まなくて…というより、全身痛くない。
確かにあの高さから飛んだのは覚えているのに。



「えっ、え、ここどこ」



体を起こしてよく周りを見渡せば、ここが病院ではないことにすぐ気付く。
冷たい床に壁、部屋には今寝ているベッドしかない 単調すぎる暗い部屋。

あまりにシンとした静けさに不安になって、立ち上がろうとした途端、大きな扉が開いた。



神威「もう起きたんだ」



藍色の目が印象的な、でも全く面識の無い 知らない人が来たものだから体が固まって



神威「そんなに怖がらないで」



近付いてきたと思えばベッドに腰掛け、割れ物かのように私の頬に触れる。
何だか更に怖くなって後退りのように後ろへ下がった。



神威「怪我なくてよかったね、ほんと強運だよ。
俺が居なきゃ死んでた」

「…それってどういう」

神威「空から降ってきたから抱き留めたんだ。
あ、そういえば名前」

「何で、邪魔するんですか」



淡々と一人で話す声を遮れば、え?と藍色の目を丸くして、聞き間違いかと言うように私を見つめた。



「貴方が余計な事しなきゃ、全部終わってたのに」



今度は彼の方が「どういう意味?」と首を傾げる。



神威「もしかして、自ら飛び降りたのかい」



その通りだと答えるように黙り込むと、じゃあ問題ないね。なんて呑気に言うものだから驚いて




神威「捨てられてた命を俺が拾ったんだ、
だから今はもう 拾った俺のものって事」

「…貴方のこと、よく分かりません
誘拐犯?それともただの偽善者?」

神威「ふふ、そのうち分かるよ。
あと俺は貴方じゃなくて神威って名前がある」




神威…さん、と呟けば「なぁに」と目を細めた。

私の邪魔をされて腹立たしいのに、そんなこと忘れてしまうくらい、神威さんは男の人なのに悔しいくらいに綺麗で思わず見とれてしまう。

私は確かに、どうせ捨てた命なんだ。
だったらもう なんでもいいか。




神威「また後で来るから、大人しく寝てて。いいね?」



素直に頷けば 「いい子」なんて言われて

あんまり好きな言葉じゃないけど、その時は何故か その大きな手に少し頼りたくなった。






___5話___ 神威side→←___3話___ 神威side



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さな(プロフ) - 鈴さん» わわありがとうございます!(;;)誰かの救いになればと台詞を書いているので、そう言って頂けたり、鈴さんの励みになれたのがとても嬉しいです(∩´∀`∩) (2019年12月12日 19時) (レス) id: e49a683dbf (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 24話、神威さんの必死に生きてればこんなことだってあるさ、という言葉に励まされました(´;ω;`)キャラクターの一言一言が優しさと切なさを感じられて大好きです。 (2019年12月11日 23時) (レス) id: cc01498415 (このIDを非表示/違反報告)
すてーき(プロフ) - さなさん» や、優しいかよ (2019年11月4日 21時) (レス) id: 6bb493e780 (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - すてーきさん» ありがとうございます。゚(゚^ω^゚)゚。夜はしっかり8時間以上眠ってくださいね…!()更新頑張ります! (2019年11月4日 21時) (レス) id: e49a683dbf (このIDを非表示/違反報告)
すてーき(プロフ) - まじ神作すぎます!更新楽しみで夜しか眠れませう、応援してます! (2019年11月4日 20時) (レス) id: 6bb493e780 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さな | 作成日時:2019年10月6日 7時

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