検索窓
今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:139,517 hit

___12話___ ページ12










神威「今日は俺休みだから、一日ゆっくりしようね」

「はい」




デザートの果物を食べながら優しい笑みに頷いた。

何も知らない神威さん。物を盗ったなんてバレたら怒って何されるか分からない。



「普段はどんな仕事を…」



話しかけた口を開いたまま 時間が止まる。

私の部屋じゃなくて指紋認証の方の扉。
それが勢いよく開いて、知らない男の人が入ってきたから。




『団長!ちょっと連絡が』



その男の人も、言いかけた言葉を止めて、口を薄く開いたまま私を見た。




神威「…俺の部屋には 今後一切入らないようにって、言ったよね?」



神威さんは不気味なくらい穏やかな顔のまま、フォークに刺さる食べかけの果物を飲み込む。



神威「少しの間目を瞑ってくれる?耳も塞いで」



私の耳元に口を寄せて そう静かに耳打ちされた。

すぐ言われた通りにしていたけど、男の断末魔のような叫び声がはっきり聞こえてしまって、体が震えだす。



神威「お待たせ。もう開けていいよ」



少し経ってから神威さんの冷たい手が、私の手を掴んでゆっくり下ろした。



神威「あぁこんなに震えて…ごめんね、急に入ってきて怖かったでしょ。もっとキツく言っておくから」

「いえ…平気です」



私は見逃さなかった。
血を拭ったような真っ赤なタオルが落ちていたのを。

それに、神威さんから血の匂いがする。



神威「食事も中断されたし、Aのことも見られちゃった。独り占めする予定だったのに」



機嫌が悪そうに フォークを皿に置く神威さん。
返す言葉を間違えれば きっと私も殺される。

死ぬことに恐怖は無い筈なのに、ドクドクと心臓が早くなっていく。



神威「…大丈夫?顔色が悪いよ」

「えっ、そうですか?」



立ち上がって私の傍へ寄り、心配そうに顔を覗き込まれる。
体を強ばらせていると後ろから抱き締められた。



神威「俺のこと 怖がってるね」

「そんなこと…」

神威「大丈夫だよ。Aには、Aが怖がるような事はしない」



…でも、私がカッターナイフを盗んだと知ったら?
「外に出たい」と言ったら?

神威さんはどうするのかな。







___13話___→←___11話___



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (117 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
253人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 神威 , 切甘
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

さな(プロフ) - 鈴さん» わわありがとうございます!(;;)誰かの救いになればと台詞を書いているので、そう言って頂けたり、鈴さんの励みになれたのがとても嬉しいです(∩´∀`∩) (2019年12月12日 19時) (レス) id: e49a683dbf (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 24話、神威さんの必死に生きてればこんなことだってあるさ、という言葉に励まされました(´;ω;`)キャラクターの一言一言が優しさと切なさを感じられて大好きです。 (2019年12月11日 23時) (レス) id: cc01498415 (このIDを非表示/違反報告)
すてーき(プロフ) - さなさん» や、優しいかよ (2019年11月4日 21時) (レス) id: 6bb493e780 (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - すてーきさん» ありがとうございます。゚(゚^ω^゚)゚。夜はしっかり8時間以上眠ってくださいね…!()更新頑張ります! (2019年11月4日 21時) (レス) id: e49a683dbf (このIDを非表示/違反報告)
すてーき(プロフ) - まじ神作すぎます!更新楽しみで夜しか眠れませう、応援してます! (2019年11月4日 20時) (レス) id: 6bb493e780 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:さな | 作成日時:2019年10月6日 7時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。